中国、伝統医薬「中薬」の効果アピール…過大評価には懸念も

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 【瀋陽=東慶一郎】中国の習近平シージンピン政権が、新型コロナウイルス感染症に対する伝統医薬「中薬」の効果をアピールしている。コロナ禍を機に世界での認知度を高めるとともに、巨大経済圏構想「一帯一路」の浸透にも役立てたい思惑がある。

■症状緩和?

 北京中医薬大学の(ワン)チー教授は17日の記者会見で、「歴史上、度重なる伝染病から、中薬が中華民族を守ってきた」と胸を張った。中薬には新型コロナが引き起こす炎症に対する抑制効果が確認されているとして、現代の臨床の現場でも通用すると強調した。

 中国政府は新型コロナの感染が拡大した湖北省に全国の中薬の専門家約4900人を派遣し、肺炎患者6万1449人に中薬を投与した。90%以上の患者に症状の緩和などの効果が表れたとしており、国の診療指針にも取り入れられた。

■健康シルクロード

 習政権は中薬専門家をイタリアとカンボジアに派遣したほか、フランスなど十数か国・地域に複数の生薬を処方した「連花清瘟(リエンフアチンウェン)」などを寄贈し、中薬を前面に出した対外支援を展開している。政権は2016年、一帯一路の一環として、医療分野で国際協力を強化する「健康シルクロード」構想を打ち出した。今年3月時点で中薬は183か国・地域で普及しているという。

 ただ、AP通信などによると、世界保健機関(WHO)は新型コロナ治療に関し、ホームページで「(中薬を含む)伝統的な薬草療法」を勧めないとの見解を表明していた。この記載は削除され、WHOは軽症患者の症状緩和を認める立場に転じた。新型コロナ対応を巡って取りざたされる中国のWHOへの強い影響力が、中薬でも及んだ可能性がある。

■警告

 中薬の効果が過大評価されることへの懸念もある。金沢大学付属病院漢方医学科の小川恵子教授は、「中薬は風土や患者の体質などに応じて生薬の種類や量を調整するものだ。特定の処方が同じ病気のすべての患者に有効かどうかは疑問が残る」と指摘する。

 中国では、風邪用の中薬が新型コロナに有効という誤情報をもとに、全国的な買い占め騒ぎも起きた。中国中医科学院の専門家も中国紙の取材に、「中国の伝統医療は神話化される向きがある」と警告している。

中薬 中国の数千年の歴史の中で効能が実証されてきたとされる、植物や動物などを原料とする生薬。遣隋使や遣唐使によって日本に伝わり、独自に発展したのが「漢方医学」だ。2015年には、中薬の研究者である屠ヨウヨウ氏が、中国人女性初のノーベル賞受賞者となった。

中薬体験ルポ

 中薬とはどんなものなのか。中国で体験してみた。(瀋陽 東慶一郎)

医師の処方箋に基づき、生薬を調合する薬剤師(4月9日、中国遼寧省瀋陽市で)
医師の処方箋に基づき、生薬を調合する薬剤師(4月9日、中国遼寧省瀋陽市で)

 記者は今月上旬、遼寧省瀋陽市の専門病院を訪ねた。問診してくれたのは、中国のレスリング女子代表チームのドクターも務めた宋振寧ソンジェンニン医師(45)。記者の両手の脈を測り、舌をみて、「疲れていないか」、「目は乾燥していないか」と尋ねる医師に、「首が痛い」などと症状を伝えた。時間にして2~3分だった。

 診断結果は、「陽の気が足りない」。ストレスで心身の活力が弱まっているということのようだ。その場で処方箋を書いてくれた。薬剤師が生薬12種を1時間ほど煮詰め、煎じ薬ができあがった。1週間分で438元(約6570円)だ。

 中薬には、カプセルや顆粒(かりゅう)状の市販薬もあるが、症状に合わせて調合してもらう場合は、副作用の危険もあるため専門医の処方箋が必要だ。

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1189885 0 国際 2020/04/27 17:58:00 2020/04/27 23:23:15 2020/04/27 23:23:15 医師の処方箋に基づき、生薬を調合する薬剤師(4月9日、中国遼寧省瀋陽で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/04/20200427-OYT1I50053-T.jpg?type=thumbnail

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