中国、反政府運動抑え込みへ直接介入…香港統制強化を審議 

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 【北京=比嘉清太、香港=角谷志保美】22日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、香港での国家分裂や中央政府の転覆を狙う活動などを禁じる国家安全法制の審議が始まった。習近平(シージンピン)政権は、外交と防衛以外では自治を認めているはずの香港に直接介入し、国際金融センターとしての地位を危うくしてまでも、反政府運動を抑え込もうとしている。

■出先機関

 全人代の王晨(ワンチェン)常務副委員長は22日、制度案の説明を行い、「一国二制度」下にある香港で昨年6月に大規模化した中国、香港両政府への抗議デモを非難した。その上で、香港の安定と国家安全が「無視できないリスクに直面している」と主張した。

 香港の憲法に相当する香港基本法の23条は、国家分裂を狙う行為を禁じる法律の制定を香港政府に義務づけている。しかし、住民の反発で1997年の中国返還以来、実現していない。昨年来の大規模抗議運動に危機感を強めた習政権は昨年10月、中国主導で法整備を行う方針を示した。

 新たな制度案では、「国家安全に危害を加える行為・活動」の防止や、処罰が可能になり、中国の国家安全当局が香港に出先機関を設けることも認める。制度案が可決されれば、全人代常務委員会が具体的な法律を制定して基本法の付属文書に盛り込む決定を行い、香港で施行される。

■選挙前に

 この時期の法整備には、9月の香港立法会(議会)選挙を前に、民主派への圧力を強める狙いがあるとみられている。昨年来の反政府運動を追い風に、親中派に有利な選挙制度の立法会選挙でも、民主勢力が初めて過半数を獲得する可能性が取りざたされる状況になっているからだ。香港メディアは、新法に基づき、民主派候補の立候補資格取り消しが続出する恐れを指摘する。

 言論や報道の自由の統制につながるとの懸念も出ている。

 中国当局が民主化要求運動を武力弾圧した天安門事件の追悼集会を主催してきた団体代表の李卓人氏は22日、「(共産党の)一党独裁をやめろと言うだけで違法になるかもしれない。全ての香港住民への脅威だ」と語った。

■代償も

 22日の香港株式市場では全人代での審議入りが伝えられると、ハンセン指数が一時、前日に比べ5・7%下落した。香港米商工会議所関係者は香港の経済紙・信報(電子版)に、「自由で独立した司法制度が侵食されれば、国際的な商業と金融の中心としての地位が脅かされる」と危惧を表明した。

 懸念は海外でも広がっている。米国のトランプ大統領は21日、記者団に対し、中国が法整備に踏み切った場合、「極めて強力に対処する」と話し、中国をけん制した。ポンペオ国務長官も22日の声明で「香港の人々の意思を無視することは、中国政府が香港に約束した高度な自治の死を告げる鐘になる」と批判し、中国政府に再考を求めた。米国内では、香港に与えている関税などの優遇措置の見直しを求める声も出ている。

◆香港の国家安全法制度案ポイント

▽国家分裂、中央政府転覆、テロ活動、外国の干渉を阻止

▽国家安全のための機構と執行メカニズムを構築

▽中国の国家安全当局は香港に出先機関設立が可能

▽香港の行政長官は定期的に中国政府に状況を報告

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