支配の道具にIT応用、コロナ禍でさらに権力増した「独裁者」

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フランスの歴史家 フランソワ・ゴドマン氏(71)

 世界的疫病の新型コロナウイルス感染症を巡り、最多の犠牲者を出している米国と、初症例を出した中国の反目が続く。世界第1、第2の経済力を持つ米中関係は既に「コロナ前」、貿易摩擦で悪化していたが、今後更に深刻になるのだろうか。国際秩序に異変は生じるのだろうか。
 欧州の代表的識者の見方を知りたくなり、フランス随一の中国研究者で歴史家のフランソワ・ゴドマン氏に電話で話を聞いた。
 感染拡大でパリを離れて南仏の家に移り、顧問を務めるパリの研究機関モンテーニュ学院などの仕事はテレワークでこなしているという。「欧州のコロナ禍は米国並み。山火事の鎮火を待つような心もとない気分です」と語り始めた。
(編集委員 鶴原徹也)

バイデン氏が2日連続で陰性、通常執務に復帰…ファイザー飲み薬で再陽性の「リバウンド」か

誕生の真相は謎

習近平氏、北京の人民大会堂で2017年10月撮影。
習近平氏、北京の人民大会堂で2017年10月撮影。

 中国の習近平シージンピン国家主席はコロナ禍を通じて権力を強めたのか、弱めたのか。それが問題です。
 なぜか。中国の現体制は習氏の独裁だからです。
 習氏は、1970年代後半に始まるトウ小平時代から続く、共産党エリートの集団指導制を脱し、権力を一身に集中し、個人崇拝さえ進めている。集団指導制は今や死語も同然、「偉大な指導者」という表現が散見されます。習氏は建国の父・毛沢東に権威こそ及ばないが、権力は等しい。
 独裁誕生の真相は謎です。
 習氏は近年高まる民族主義に訴え、指導層の派閥対立を巧みに利用し、反腐敗闘争を政敵排除に役立ててきた、とは言えます。
 毛の文化大革命の時代、10代の習氏は農村に送られて苦汁をなめ、横行する迫害や粛清を見て非情さを体得したのではないか。
 習氏の台頭はIT革命と時期が重なります。権力掌握後は顔認証システムなどIT技術を支配の道具に応用し、歴史上類がない国民監視体制を敷いています。
 ロシアのプーチン大統領と比較はできます。精鋭の警察官らを手駒にした政敵排除の手法は似ている。プーチン氏は、対米冷戦に敗れ、ソ連解体を招いたゴルバチョフ元共産党書記長を糾弾してやまない。習氏は2012年に共産党総書記に就くとゴルバチョフ批判を展開したものです。体制維持は習氏の最重要課題なのです。

 ただロシアには曲がりなりにも選挙があり、野党が存在する。この点でプーチン氏はいわば准独裁者です。一党支配体制下で権力を独占する習氏には及びません。
 前置きが長くなりました。冒頭の問いに戻ります。習氏は権力を強めた。それが私の答えです。
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