米海軍、南シナ海で「航行の自由作戦」…中国への圧力強化を継続
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【ワシントン=蒔田一彦】米海軍第7艦隊の報道担当者は14日、読売新聞の取材に対し、ミサイル駆逐艦「ラルフ・ジョンソン」が中国やベトナムなどが領有権を主張する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島周辺で、「航行の自由作戦」を実施したことを明らかにした。
ポンペオ米国務長官は13日、中国によるほぼ全域にわたる海洋権益主張について「完全に不法だ」とする声明を発表した。米国は即座の作戦実施により、中国への圧力強化を継続する決意を示す狙いとみられる。
米誌「ザ・ディプロマット」(電子版)によると、作戦実施は5月28日以来で、ラルフ・ジョンソンは、中国が軍事拠点化しているファイアリー・クロス礁とクアテロン礁の12カイリ内を航行した。第7艦隊の報道担当者は「不法で見境ない海洋権益主張は航行・上空飛行の自由、自由な貿易、沿岸国の経済的機会の自由に深刻な脅威となる」と述べた。
南シナ海で中国が挑発行動を活発化させる中、米軍も艦艇や航空機を頻繁に派遣し、警戒を強めている。今月上旬には、空母2隻が参加する軍事演習を6年ぶりに南シナ海で実施した。
米政府は、2016年7月に仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が、中国の主権主張に法的根拠がないとする判決を出した際、「南シナ海の紛争の平和的解決を支持する」(国務省報道官)との声明を出し、対話による解決を促した。しかし、中国による一方的支配の動きは止まらず、ペンス副大統領は18年11月、「南シナ海はいかなる一国にも属さない」と述べるなど、批判のトーンを強めてきた。
デビッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は14日、米政策研究機関のイベントで、「(南シナ海の権益争いに関して)我々は中立だとはもう言わない」と強調した。南シナ海問題を巡って対中制裁に踏み切る可能性についても、「検討から外していない」と述べた。