原爆投下75年、「核なき世界」決意新たに…グテレス国連事務総長が寄稿

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グテレス事務総長
グテレス事務総長

 国連のアントニオ・グテレス事務総長が、広島、長崎への原爆投下75年に合わせて本紙に寄稿した。

 広島と長崎に原爆が投下され、一つの核爆弾がどれだけの惨事を引き起こすかを人類が知ってから75回目の夏を迎える。被爆者の消えない苦しみを思い、我々は核兵器全廃への決意を日々新たにすべきだ。被爆者は広島と長崎が経験した恐怖が忘れ去られないようにと自らの体験を語ってきた。にもかかわらず、核の脅威は再び増大している。

 核兵器の使用防止と最終的な全廃に向け、いくつもの合意や制度が網の目のように構築されてきた。だが、そうした枠組みは何十年も機能せず、崩れ始めている。核兵器が意図的、偶発的あるいは誤算によって使用される可能性は危険なほど高まっている。

 核保有国間の関係は危険で不安定な対立に向かっている。国家が安全保障を核に依拠する傾向が増し、政治家は核使用の可能性を語り、殺傷能力向上に莫大ばくだいな資金をつぎ込んでいる。平和的で持続可能な開発にこそ資金は使われるべきだ。

 核実験は何十年にもわたって人類と環境に恐ろしい結果をもたらしてきた。この前時代の遺物は永遠に封印されるべきだ。核実験全面禁止条約(CTBT)は価値はあるものの、一部の国が署名・批准をしておらず、核兵器廃止に向けた潜在力を発揮できずにいる。

 核兵器は気候変動と並び、我々の社会にとって生存への脅威だ。世界の核弾頭約1万3000個のほとんどは、広島と長崎で使用されたものよりはるかに破壊力が大きい。いかなる核兵器の使用も、想像を絶する惨事へと人類を陥れるだろう。

 核戦争に勝者はなく、決して行うべきではないという共通認識、核兵器のない世界を目指すという合意、そして核廃絶に歴史的な進展をもたらした協力の精神に今こそ立ち返る時だ。

 核兵器の90%を保有する米露両国の主導が期待される。両国が新戦略兵器削減条約(新START)の5年間の延長に合意できれば、他の核保有国の参加を促すなど新たな合意に向けた交渉の時間を稼ぐことができる。

 来年、国連は核拡散防止条約(NPT)再検討会議を主催する。(米英仏中露の)5大核保有国は核全廃を追求し、他の加盟国は核保有や開発をしないように義務づけた唯一の条約だ。来年のNPT再検討会議は、核を巡る国際秩序の後退を防ぐ好機だ。

 幸い、国連加盟国の大半は核兵器なき世界という目標になお専心している。122もの国が核兵器禁止条約の採択を支持したことでも明らかだ。

 我々は広島や長崎、あるいはそれ以上の惨事を繰り返すわけにはいかない。被爆者の苦しみに思いを寄せ、この悲劇を人類への訴えと捉え、核兵器なき世界を希求する新たな決意としよう。

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1390909 0 国際 2020/08/06 05:00:00 2020/08/06 10:08:20 2020/08/06 10:08:20 6日、米ニューヨークの国連本部で、声明を読み上げるグテレス事務総長。国連のグテレス事務総長は6日、国連本部で声明を発表した。米イランの対立激化を念頭に「地政学的な緊張は今世紀最高レベルにあり、混乱は今もエスカレートしている」と警告し、各国に自制を訴えた。2020年1月6日撮影。同月7日夕刊「「各国は自制を」 国連総長が声明」掲載。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200806-OYT1I50027-T.jpg?type=thumbnail

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