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「帝国以後」の国造り、米にとって21世紀最大の課題

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ティモシー・スナイダー氏 51 米エール大学教授

 世界最強の米国が新型コロナウイルスの世界最大の感染被害を通じて、貧富格差や人種差別など根の深い不平等の問題を露呈させている。この間、白人警官による黒人男性の暴行死事件を契機とする全米規模の抗議運動も起きている。
 その一方で、米大統領選は11月3日の投開票日まで2か月を切った。「米国第一」の旗を掲げて国際秩序を揺さぶってきたトランプ大統領は再選を果たすのか否か、それが焦点だ。
 米エール大学の教授で、鋭い政治批評でも知られる歴史家ティモシー・スナイダー氏は事態をどう見ているのだろうか。滞在先のオーストリアの首都ウィーンに電話を入れると、「帝国以後」という歴史的観点から、見解を語ってくれた。(編集委員 鶴原徹也)

アメリカのコロナ禍惨状の一因…誤った医療制度

 昨年末、病に倒れ、友人の付き添いでエール大学近くの病院に行きました。衰弱と苦痛を訴えますが、17時間放置されます。医師の診察を受けると、肝臓の膿瘍のうようと敗血症。緊急手術でした。

 
 

 新年に意識を回復し、怒りを覚えました。米国が健康を基本的人権と認めていないことに、医療も拝金主義に染まり、国民本位の公的制度が不備なことに。

 米国のコロナ禍の惨状の一因は誤った医療制度にあります。疫病は医療の恩恵を受けづらい未熟練労働者やアフリカ系、ヒスパニック系ら貧しい住民に過酷です。

トランプ氏は願望と気分の政治家

 トランプ氏は真実と事実から目を背ける、願望と気分の政治家です。まずコロナウイルスの脅威に向き合わず、次に脅威だとしても米国には波及しないと吹聴した。希望的観測です。このため初動が遅れてしまった。

 政治的な思惑も絡むと私は見ています。トランプ氏周辺は当初ニューヨークで感染が拡大する中、被害は有色人種や民主党支持者らの多く住む都市に限られるはずだと見なしたようです。これも対策が後手に回った一因でしょう。

 トランプ氏周辺は「自助」を強調する傾向が強い。福祉嫌いにも表れています。それは人種差別的な色合いも帯びる。支持者らにこう諭します。「福祉は有色人種や移民を助けるだけ。我ら白人は自立している。福祉は不要だ」

 民主党支持者の多い都市、ミネアポリスで5月下旬に起きた黒人暴行死事件は象徴的です。犠牲者はコロナ禍に伴う飲食店の休業で警備員の職を失い、自身も感染していた。白人警官に対する怒りは全50州での抗議運動に発展しました。1960年代後半のベトナム反戦運動以来の規模でした。

 トランプ氏は大半が平和的な抗議運動を暴動と断じました。その言動は白人の間には「自分たちは暴徒の犠牲者だ」とする意識を与えたと私は考えます。「白人は無垢むく」という神話的な潜在意識を刺激したはずです。

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