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リーダーになる能力も意思もなくなった米、テクノロジー「対決」は中国に軍配か

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 国際秩序の仕切り役となる指導国がいなくなった状況を「Gゼロ」と呼ぶ。
 米国の国際政治学者イアン・ブレマー氏が、超大国・米国が「世界の警察官」や国際協調の旗振り役をやめ、米国の再建を最優先していく潮流を感じ取り、「Gゼロ」という言葉とともに世界に警鐘を鳴らしたのは、「米国第一」を掲げるトランプ大統領が登場するより前の2011年だった。
 慧眼けいがんのブレマー氏に、トランプ氏が敗れた11月の米大統領選と今後の国際秩序の行方はどう見えているのだろうか。ブレマー氏が語ったのは、テクノロジー(科学技術)で米中が対立する国際秩序の新潮流「T2」が、Gゼロに取って代わる可能性だった。(政治部次長 小川聡)

分断は修復できない。バイデン氏は最も弱い大統領として就任

 今回の米大統領選が改めて示したものは、米国の政治的分断がいかに深刻か、そしてそれはバイデン前副大統領が大統領になっても修復できない、という事実です。

 人々は、政府や指導力のあり方、政治課題について完全に異なる考えを持つ二つのグループに分かれています。新型コロナウイルス対策を重視する人々はバイデン氏に投票し、経済を重視する人々はトランプ大統領に投票しました。

 トランプ氏は敗れたとは言え、過去のどの大統領よりも多い7000万票以上もの票を獲得しました。多くの米国の人々は「エスタブリッシュメント(既得権層)は自分たちに目を向けていない」と怒り、既得権層を攻撃してきたトランプ氏を支持しているのです。新型コロナの大流行がなければ、トランプ氏が勝利していたでしょう。

 はっきりさせておきますが、「大統領選は横取りされた」「いかさまだ」というトランプ氏の主張は大うそで、証拠は一切ありません。それでも、11月中旬の世論調査では、77%の共和党員がトランプ氏の主張に同意しています。トランプ氏は今も、共和党内で最強の支持基盤、最大の発信力を持っています。

Gゼロの世界で日本が果たす役割に期待しているからこそ、「Gゼロ・サミット」(読売新聞社後援)を日本で開催してきたと語る。今年は新型コロナの影響で12月9~11日にオンラインで開催する(写真は昨年11月18日に東京都内のホテルで開かれた同サミット)=奥西義和撮影
Gゼロの世界で日本が果たす役割に期待しているからこそ、「Gゼロ・サミット」(読売新聞社後援)を日本で開催してきたと語る。今年は新型コロナの影響で12月9~11日にオンラインで開催する(写真は昨年11月18日に東京都内のホテルで開かれた同サミット)=奥西義和撮影

 共和党は下院選で善戦し、上院ではジョージア州2議席の決選投票が残っていますが、おそらく過半数を維持するでしょう。バイデン氏は思うように法律や予算を成立させられません。

 78歳の民主党員で、エスタブリッシュメントのバイデン氏は、カーター大統領以降、最も弱い大統領として就任するのです。

「Gゼロ」は変わらない

 外交では、バイデン氏が多国間主義を採用し、より一致点を探るアプローチを取るのは間違いありません。日本を含めてトランプ氏との付き合いに苦労してきた世界の多くの指導者は、新大統領の誕生を大歓迎することでしょう。

 日米関係も良くなります。安倍前首相はトランプ氏との関係を非常にうまく管理しましたが、トランプ氏は会談では道理に合わない数字を持ち出し、米軍による安保提供を利用して、通商交渉で日本を威圧しました。菅首相は、次の大統領のバイデン氏と会談する際、卵の殻の上を歩くような思いをしなくてすみます。

 しかし、地球規模の指導力が欠如した「Gゼロ」は変わりません。一つ、例え話をしましょう。あなたが深刻な心臓病を患い、医者が十分な治療をしてくれないと感じていたとします。ある日、とても感じの良い医者に出会い、病気がよくなりそうに感じます。しかし、何度か診察を受けた後に、深刻な病状は変わらないという現実に気づくでしょう。

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1678870 0 国際 2020/12/06 09:21:00 2020/12/07 10:50:09 2020/12/07 10:50:09 「GZERO(Gゼロ)サミット」。基調講演をする、米政治学者でユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏(壇上)。サミットの共同議長を務める。東京都千代田区のパレスホテル東京で。2019年11月18日撮影。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201130-OYT1I50024-T.jpg?type=thumbnail

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