北、安保理の上限「数倍」上回る石油を密輸か…「瀬取り」使った制裁逃れ横行
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【ニューヨーク=寺口亮一】北朝鮮が昨年、国連安全保障理事会の制裁が定めるガソリンなど石油精製品輸入量の上限を「数倍」も上回る量を密輸入した疑いがあることが8日、明らかになった。日米などが連携して監視を強化する中、北朝鮮の「制裁逃れ」が横行している模様だ。
2017年12月の安保理決議は、北朝鮮の石油精製品輸入量を年間50万バレルが上限と定めている。
安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルがまとめた年次報告書案の要旨によると、船舶の積み荷を海上で移し替える「瀬取り」などの違法な手法で、輸入量は昨年1~9月だけで「上限を数倍上回る」という。
北朝鮮が「巧妙な」手口で密輸を図っているとも明記した。瀬取りを巡っては、これまで中国やロシアの関与が指摘されてきた。
核・弾道ミサイル開発については「(北朝鮮が)核物質を生産し、核関連施設を保持し、弾道ミサイル関連のインフラも改良した」と、依然計画を継続していると説明した。必要な物質や技術を海外から調達しようと画策しているという。
また、北朝鮮が暗号資産(仮想通貨)に加え、軍事情報を盗み取ることを目的に軍事産業へのサイバー攻撃も行っているとした。
専門家パネルは、北朝鮮に関する制裁措置の履行状況を監視する制裁委の下で北朝鮮の制裁違反の有無を分析する。
報告書案は安保理理事国による議論や修正を経た上で、3月にも公表される見通しだ。