イラン政府、核施設への査察受け入れ停止を正式発表
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【テヘラン=水野翔太】イラン政府は20日、国際原子力機関(IAEA)による国内核施設への抜き打ち査察の受け入れを、IAEAへの事前通告通りに23日から停止すると正式に発表した。核合意への復帰に向けてイランと対話する意向を示している米バイデン政権に対し、イランへの制裁の解除という前提条件を改めて突きつけた。
イランの核交渉責任者、アッバス・アラグチ外務次官は20日、国営テレビを通じ、抜き打ち査察を規定したIAEAの「追加議定書」の適用を23日に停止すると表明した。イラン側が査察受け入れ継続の条件としていた米国による21日までの制裁解除に「見込みがないためだ」とも主張した。
21日にはIAEAのラファエル・グロッシ事務局長がテヘランで、アリアクバル・サレヒ原子力庁長官、ジャバド・ザリフ外相と相次いで会談した。受け入れ停止の翻意を促したとみられる。
イランが査察受け入れ停止に踏み切れば、核合意からのさらなる逸脱となり、国際社会による監視体制の弱体化は必至だ。米英仏独の外相は18日の共同声明で、イランに査察受け入れを継続するよう求めていた。一方で、米国は核合意復帰の前提として、イランに核開発の抑制を求めており、両者の対立が続いている。