デモ参加者を夜間に摘発、俳優の自宅に警官が乗り込む…ミャンマー拘束500人超
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【バンコク=津田知子】ミャンマーでクーデターを強行した国軍が、抗議活動参加者らの夜間の摘発をエスカレートさせている。国内の人権団体によると、クーデター以降の当局による拘束者は500人を超えた。不安をあおって抗議活動への参加をためらわせ、SNSによる連携も分断する狙いがあるようだ。

本紙通信員によると、最大都市ヤンゴンで21日早朝、クーデターに反対する職場ボイコット「不服従運動」への参加を市民に呼びかけていた男性俳優を、自宅に警官が乗り込んで拘束した。18日未明には、不服従運動に参加していた外務省職員計11人も拘束された。
国軍はクーデターを起こした1日以降、アウン・サン・スー・チー国家顧問ら国民民主連盟(NLD)政権関係者らを中心に拘束してきた。抗議活動の拡大に伴い、対象をデモや不服従運動の参加者に広げている。
人権団体「政治犯支援協会」の調査によると、20日現在で569人の拘束が判明している。帰宅した抗議活動参加者らが夜から早朝の間に拘束されるケースが多いという。国軍は午前1~9時の時間帯にインターネットを遮断しており、摘発を警戒する参加者らがSNSなどで連携するのを封じる狙いもあるとみられる。

警察に対抗し、居住区で自警団結成の動きが広がっている。ヤンゴンの住民(35)は「高齢者が見張って若者がパトロールし、『不審者』の侵入を防ぐ」と語った。
国連でミャンマーの人権問題を担当するトーマス・アンドリューズ特別報告者は16日の声明で、国軍部隊が地方からヤンゴンに移動しているとの報告を受けたと明らかにした。「過去にはこのような部隊移動に伴い、大量殺害が起きた」と指摘、大規模な弾圧に発展することへの懸念を示した。
国連事務総長がデモ銃撃を非難
【ニューヨーク=寺口亮一】国連のアントニオ・グテレス事務総長は20日、ミャンマーで治安部隊がデモ隊に発砲して死傷者が出たことを受け、「平和的なデモ隊に対する武力行使や脅迫、嫌がらせは受け入れられない」とツイッターに投稿し、非難した。昨年11月の総選挙の結果の尊重と民政への復帰も改めて求めた。