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「この陰性証明書は無効」帰国邦人、空港で搭乗拒否される…政府指定の書式ではない

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日本の水際対策、周知不足

官邸
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 日本政府が4月に強化した新型コロナウイルスの水際対策を巡り、邦人が帰国の際、ウイルス検査で政府が指定する陰性証明書に不備があったとして航空会社から搭乗を拒否されるなど、トラブルが相次いでいる。政府は指定する書式の例外も認めているが、海外では十分に周知されず、過剰反応も起きているようだ。(ヨハネスブルク 深沢亮爾、国際部 松尾彩花)

政府関係者まで

 4月下旬、南アフリカの空港で、日本に帰国しようとした40代の会社員男性は、「この証明書は無効だ。飛行機には乗れない」と航空会社職員から搭乗拒否を告げられた。男性は政府が定める必要事項を全て満たした書類を準備していたが、「政府指定の書式ではない」というのが理由だった。

 男性は、必要事項を満たしていれば日本入国は認められると食い下がったが、空港職員は電話で大使館職員から説明してもらうまで、納得しなかった。日本のように証明書の書式まで指定されるのは世界的に珍しい。男性は、「水際対策の重要性は理解するが、もう少し賢いやり方がないものか」と、当時を振り返った。

 読売新聞の取材では、こうした搭乗拒否の事例は少なくとも米国、中国、英国、イタリア、タイ、イスラエルで確認された。日本政府関係者が航空会社に搭乗拒否された事例もあった。

 出入国在留管理庁の統計(速報値)によると、4月の帰国者は約3万人だった。日本国内で変異ウイルスが猛威を振るう中、水際対策の強化は急務となっている。厚生労働省は書式を指定する理由について、「政府が求める検査方法の実施を確実にするため」と説明する。だが、例外も認めるとする日本側の複雑な対応は、各国の航空会社へ十分には周知されていない模様だ。

上陸拒否し送還も

 関西空港では4月、オランダから帰国しようとした30代の男性が、出国前の検査証明書に記載された検査方法が政府指定のものとは異なるという理由で、検疫法に基づく「上陸拒否」とされ、オランダに送還された。男性が受けた検査は、鼻や喉などから採取した複数の検体を混ぜる方法で、オランダでは一般的だ。しかし日本は、鼻の奥の粘液か唾液を使う方法を指定している。

 男性を送還した対応には疑問の声も上がる。東京都立大の富井幸雄教授(公法学)は、「国外に邦人を送還する措置は法的に疑念が多い。政府は根拠を明確に説明する義務がある」と指摘している。

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2087466 0 政治 2021/05/30 05:00:00 2021/06/02 03:18:46 2021/06/02 03:18:46 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210530-OYT1I50011-T.jpg?type=thumbnail

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