読売新聞オンライン

メニュー

元徴用工訴訟、韓国地裁が日本企業への請求を却下…大法院判決を否定する異例判断

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 【ソウル=建石剛】韓国人「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」や遺族ら85人が日本企業16社を相手取り、1人当たり1億ウォン(約985万円)の損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は7日、原告の請求を却下した。判決は、日韓の請求権問題を「完全かつ最終的に解決した」とする1965年の日韓請求権・経済協力協定により、原告が「訴訟を起こす権利の行使は制限される」と判断した。

ソウル中央地裁
ソウル中央地裁

 元徴用工訴訟を巡っては、大法院(最高裁)で2018年に新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業に賠償を命じる判決が確定している。これ以降、元徴用工の請求を却下する判決は初めてとみられ、大法院判決を否定する異例の判断となった。

 原告側の代理人弁護士は「大法院判決と正反対だ」として控訴する意向で、上級審で覆る可能性もある。

 大法院判決では、「個人の慰謝料請求権は、日韓請求権協定には含まれない」としていた。だが今回の判決は、協定が、両国民が相手国家や国民に対する全ての請求権について「いかなる主張もできない」と定めたことを重視し、訴訟自体を認めなかった。

 判決では、日韓請求権協定は、被害者の請求権などに関し、一括して補償や賠償をすることで合意した2国間の「条約」に当たるとし、国内法によって不履行とすれば、「国際法違反になりかねない」と判断した。

 また、日本側が反発して国際司法裁判所(ICJ)に提訴する可能性にも触れ、ICJで韓国側が敗訴すれば、「韓国司法の信頼は致命的に損なわれる」と指摘。日韓関係だけでなく、同盟国である米国との関係も傷つくとし、「安全保障を毀損きそんさせ、秩序の維持を侵害する可能性を排除できない」と、外交的な懸念にまで踏み込んだ。

 日韓関係悪化の一因である元徴用工訴訟を巡り、文在寅ムンジェイン政権は、「原告側が納得できる解決策」を探るとしている。勝訴した原告の間では賠償を求める声が根強く、敗訴が確定した日本企業の資産現金化手続きも着々と進んでいる。今回の判決が日韓関係に与える影響は限定的だとの見方がある。

無断転載・複製を禁じます
2107385 0 国際 2021/06/07 14:39:00 2021/06/07 22:13:32 2021/06/07 22:13:32 韓国のソウル中央地裁(4月21日午前8時56分)=上杉洋司撮影韓国のソウル中央地裁(21日)=上杉洋司撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210607-OYT1I50086-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)