韓ドラ「拡散」したら死刑も、女性のロングヘアは禁止…北が取り締まり強化

 【ソウル=建石剛】北朝鮮当局が、韓国式の言葉遣いやファッションを好む若者らの取り締まりを強化している。 金正恩キムジョンウン 政権は、もともと忠誠心が薄いとされる若者世代が韓国の自由な文化に染まれば、将来の体制の動揺につながると真剣に恐れているようだ。

 韓国の情報機関・国家情報院の8日の国会報告によると、北朝鮮は最近、韓国風の言い回しなどが「非社会主義で革命の敵」だとして使用を禁じた。夫を「オッパ」(お兄ちゃん)、交際男性を「ナムチン」(彼氏)と呼ぶ言葉遣いなどで、韓国の若者らが好む表現だ。

 髪形などの「乱れ」も摘発対象だ。韓国在住の脱北者の30歳代男性によると、北朝鮮の最近の若者は、男性は側頭部を短く刈り上げる「ツーブロック」、女性はロングヘアを好む。だが、男性の場合は「軍人のような短髪でない」こと、女性は「女性らしさを強調しすぎ」だとして禁止された。

 北朝鮮当局は昨年12月、韓国ドラマなどを広めた場合、最高で死刑となる法律を制定した。韓国の言葉遣いを罰する条項もあり、該当すれば2年以下の労働教化刑となる。国家情報院の報告は、法制定を受けた摘発の徹底ぶりを示すものだ。

 北朝鮮で韓国ドラマを隠れて見ること自体は、かねて常態化してきた。北朝鮮内部と連絡を取る韓国の専門家によれば、日本で話題を呼んだドラマ「愛の不時着」も人気という。

 韓国式の言葉やしぐさまでが禁じられた昨年末からの状況は、韓国文化の浸透ぶりを示すと言える。この専門家によると、携帯電話のメッセージを抜き打ちでチェックされ、韓国で使われる略語やスラングの使用を当局が確認するケースも出てきているという。

 北朝鮮の警戒の高まりは、金正恩朝鮮労働党総書記の公式発言からもうかがえる。正恩氏は6月20日、 平壌ピョンヤン で開かれた女性団体の大会に寄せた書簡で、「女性の組織は服装や言葉遣いなどのおかしな傾向に警鐘を鳴らし、徹底的に芽を摘まなければならない」と強調した。

 高麗大の 柳浩烈ユホヨル 名誉教授(北朝鮮政治)は、こうした締め付けを「体制の揺らぎにつながる若者の反乱の兆候を早めに摘む」ことが狙いと見る。新型コロナ対策で中朝国境を封鎖したことで、北朝鮮に外部情報が流入しにくくなっており、柳氏は「この機に『韓流ブーム』を全てなくしてしまおうとしているようだ」と話す。

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