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まるで津波・外にも逃げられない…ドイツ洪水、死者150人超の惨事に

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 ドイツで西部を中心に豪雨被害が拡大し、18日までに少なくとも156人が死亡する惨事となった。被害に遭ったのは河川の氾濫などの発生が少ない地域と指摘され、気候変動が影響したとの見方が広がる。9月の連邦議会(下院)総選挙でも、気候変動対策が重要な争点になりそうだ。(独西部ハーゲン 石崎伸生)

浸水被害に遭った地域では建物の清掃や復旧作業が行われていた(17日、独西部ハーゲンで)=石崎伸生撮影
浸水被害に遭った地域では建物の清掃や復旧作業が行われていた(17日、独西部ハーゲンで)=石崎伸生撮影

 鉄鋼生産などで知られる西部の工業都市・ハーゲンでは広範囲で洪水が起き、17日、市街地は泥まみれの家財道具などが山積みになっていた。

 住民のタビタ・ハントケさん(55)は、14日昼頃、近くの川から「まるで津波のような勢いで泥水が流れてきた」と振り返った。自宅の地下室は半時間で水没し、地元の消防当局の助言で、夫と娘の3人で近くの高台の親戚宅に避難したという。

河川の氾濫で被害を受けた独西部の家屋(15日)=AP
河川の氾濫で被害を受けた独西部の家屋(15日)=AP

 住民の豪雨被害の備えも不足していたようだ。半世紀前からハーゲンに住むギゼラ・ハイマンさん(79)は自宅前の道路が冠水し、「外に逃げることも出来なかった」。過去の洪水は約45年前だといい、「今回は比べものにならないほどひどい」と嘆いた。

気候変動 総選挙争点に

 今回の豪雨の影響でベルギーでは少なくとも27人の死亡が確認され、オランダでも被害が出た。ドイツなどで行方不明者も多数おり、犠牲者が増える恐れがある。メルケル首相は18日に独西部の被災地に入り、「連邦政府は地元政府と協力して秩序を取り戻すことに努める」と述べ、財政支援などを行う考えを示した。

 独国内では、今回の豪雨と気候変動を関連付ける発言が相次ぐ。スベーニャ・シュルツェ独環境相は「今回の出来事は、気候変動によりどのようなことが起きるかを示している」と語った。「地球温暖化により豪雨の頻度は増す」とメディアで力説する専門家もいる。

 ドイツの9月の総選挙は、政界引退を表明しているメルケル首相の後任を決めるものとなる。各種世論調査では、メルケル氏の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、2番手の環境政党・緑の党をリードする。だが、今回の豪雨を機に、気候変動対策の必要性を強く訴える緑の党が勢い付き、選挙結果に影響する可能性がある。

 CDU・CSUの次期首相候補で、被災したノルトライン・ウェストファーレン州の州首相であるアルミン・ラシェット氏は15日、豪雨と気候変動が関連している可能性を早速指摘し、「世界的により迅速に、気候変動対策に取り組む必要がある」と述べた。ラシェット氏にとっては、災害対応のかじ取りでつまずけば、支持を失いかねない。

 一方、緑の党で環境政策を担当するリサ・バドゥム連邦議会議員は地元メディアに、緊急の気候変動対策を示さなければならないと語った。

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2217134 0 国際 2021/07/19 05:00:00 2021/07/19 07:59:26 2021/07/19 07:59:26 川が氾濫した地域では浸水被害に遭った家や企業などで建物の清掃や復旧作業が行われていた(17日) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210719-OYT1I50005-T.jpg?type=thumbnail

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