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パキスタン 難民流入警戒…アフガン米軍撤収

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 パキスタンが、隣国アフガニスタンから難民が再流入し、社会不安を招く事態を警戒している。駐留米軍の撤収が進むアフガンで旧支配勢力タリバンが攻勢を強め、治安が悪化しているためだ。タリバンの後ろ盾となってきたパキスタンの訴えには、冷たい視線も注がれる。(ニューデリー支局 小峰翔)

国境にキャンプ計画

アピール

アフガニスタンとの国境、パキスタン西部チャマンの検問所を通ってアフガンから戻るパキスタン人(17日、AFP時事)
アフガニスタンとの国境、パキスタン西部チャマンの検問所を通ってアフガンから戻るパキスタン人(17日、AFP時事)

 パキスタンのイムラン・カーン首相は16日、ウズベキスタンで開かれた国際会議で演説し、「これ以上難民を受け入れる能力と経済力はない」と訴えた。カーン氏は先月も、米紙ニューヨーク・タイムズに、「タリバンが力ずくでアフガンを奪おうとするなら、国境を閉鎖する」と息巻いた。

 AFP通信によると、パキスタン政府は14日、タリバンが国境地域を支配下に置いたとする主張に反応し、西部チャマンなどアフガン国境の一部を閉鎖した。数日後に解除したが、パキスタンはタリバンの動向に神経をとがらせているようだ。

 一方でパキスタンは、国境沿いに難民キャンプを整備する計画も検討している。財政難が続く中、難民への対応をアピールし、国際社会の支援を得ようとする思惑ものぞく。

治安悪化

 パキスタンは過去にも、ソ連のアフガン侵攻や、米同時テロ後に米英がタリバンを打倒した際、数百万人の難民を受け入れた。一部はアフガンに帰還したが、「今も約300万人が残る」(カーン氏)という。

 難民流入はパキスタンの治安を悪化させた。貧困や孤立、過激思想の影響などで行き詰まった難民によるテロもたびたび起きている。今年6月に東部ラホールで約30人が死傷した爆破テロの容疑者の1人は、アフガン出身者だった。

 アフガン難民に反感を持つ人も少なくない。北西部ペシャワルの宝石加工業の男性(55)は2007年、難民らに誘拐された。2週間後、家族が200万ルピー(当時のレートで約400万円)の身代金を支払うと、ようやく解放された。男性は、「難民は来ないでほしい。何をされるかわからない」と不安そうに話した。

タリバン

 パキスタンは長年タリバンを支援し、最も影響力があるとされてきた。タリバンが政権を握った時代には、政府として承認した経緯もある。現在も外交面で後ろ盾となる一方、支援も続けている模様だ。

 それでもタリバンを制御しきれず、難民を警戒するパキスタンの訴えを、額面通りに受け取る向きは少ない。アフガン政府は、タリバン支援で混乱を招いたパキスタンこそが「アフガンの不安定要因だ」と主張する。ある外交筋は、アフガン難民に手を焼くパキスタンを、「身から出たさびだ」と言い放った。

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2226139 1 国際 2021/07/22 05:00:00 2021/07/22 05:00:00 2021/07/22 05:00:00 Pakistani people return from Afghanistan after crossing the border point in Pakistan's town of Chaman on July 17, 2021, as Pakistan partially reopened its southern crossing with Afghanistan, shut off since the Taliban seized control of the strategic border town on the other side. (Photo by Banaras KHAN / AFP) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210722-OYT1I50010-T.jpg?type=thumbnail

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