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【テヘラン=水野翔太】アフガニスタンの首都カブールでの自爆テロは、国外脱出を図る数千人のアフガン人らが集まった国際空港近くで発生し、70人以上が死亡する大惨事となった。米国は自国民らの救出作戦を拙速に進め、空港周辺の混乱を招いた。警戒を強めていたにもかかわらず、自爆テロを防げなかったことで、米国への批判はさらに強まりそうだ。

中東カタールの衛星テレビ局アル・ジャジーラによると、カブールの救急病院には26日夕、負傷者が次々と運び込まれた。イスラム主義勢力タリバンと治安部隊の戦闘などによる負傷者で病床の8割が埋まっており、ベッドを追加して救命措置を施した。

アフガンの駐留米軍は5月から撤収を本格化させた。アフガン政府軍が後ろ盾を失ったことで、タリバンが驚異的なスピードで全土を掌握しただけでなく、今回の自爆テロを起こしたイスラム過激派組織「イスラム国」の勢力伸長にもつながったようだ。
「イスラム国」は近年も、人混みを標的にした自爆テロをカブールで繰り返してきた。2018年4月には総選挙の有権者登録所が狙われ、少なくとも57人が死亡。19年8月の結婚式場テロでは60人以上が犠牲になった。今年6月公表の国連専門家パネル報告書は、「『イスラム国』はアフガンに脅威をなお与えている」と警鐘を鳴らしていた。
アフガン人記者ビラル・サルワリ氏は27日、「米国の政策決定者らは、軍撤収後に何が起きるか、過小評価していたようだ」とツイッターに投稿し、米国を批判した。
タリバン報道官は24日の記者会見で、カブール国際空港周辺の雑踏が「危険だ」として、アフガン人が空港に向かうのを禁止していた。報道官は今回の自爆テロを受け、「国民を守る」との声明を出した。