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【上海=南部さやか、北京=田川理恵】中国で小中学生向けの学習塾の閉鎖が相次いでいる。家庭の教育負担軽減を目指して打ち出した
保護者に混乱、失業者多数
突然の閉校

今月上旬、上海市内で約30校を展開する大手学習塾「緑光少児教育」の1校を訪ねると、施錠された入り口に、営業停止を知らせる貼り紙が掲げられていた。「共産党と政府の方針を支持する」と記されている。
そばの机には授業料返還を求める人向けに記入表が置かれ、約200人の名前があった。残った授業時間の記入欄もあり、多い人で104時間だった。閉鎖を知って訪れた60代女性は、小学1年と3年の孫2人を通わせていた。「教師と連絡がつかない。返金されないのでは」と不安そうだ。

習政権は7月、投資家の塾への投資や、塾を経営する会社の株式上場による資金調達を禁じるなどした。小中学生対象の塾の新設のほか、長期休暇や週末の学習指導も禁止した。
こうした学習塾を巡る規制を受けて、資金繰りに行き詰まったり、業界の先行きを悲観したりして閉鎖する塾が続出している。北京市当局は8月、無許可運営などの違法行為のあった63の塾を閉鎖させ、追い打ちをかけた。
香港メディアは、規制に伴う失業者が1000万人に及ぶ可能性があると伝える。中国の人材派遣会社が8月に発表した報告では、地方都市で教育業界への就職を希望する人のうち6割が塾関連の失業者だった。
少子化対策
習政権は、家庭の教育関連の負担を減らすことを目的とした措置を増やしている。学習塾の規制はその一部だ。将来的に、出生数の回復につなげることを目指し、教育格差を解消する効果も見込んでいる。