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【台北=杉山祐之】台湾で18日、赤身を増やす飼料添加物を使った豚肉の全面輸入禁止など4案件の是非を問う住民投票が行われ、反対多数で全件が不成立となった。市場開放を進め、米国との全面的な関係強化や環太平洋経済連携協定(TPP)加盟を目指す

中央選挙委員会(選管)によると、焦点の豚肉禁輸案件では、賛成393万6554票、反対413万1203票だった。投票率は41・09%だった。
蔡総統は18日夜、「人々は国際社会に積極的に参加していくことを望んだ」と述べた。
蔡政権は、民主主義諸国、特に米国との連携を強めて中国の圧力に対抗しようとしており、安全保障を含む総合的判断から、今年1月、この飼料添加物を使った米国産食肉の輸入を解禁した。だが、食の安全への関心が強い層から反発が上がり、これに乗る形で最大野党・国民党が中心になって署名を集め、住民投票に持ち込んだ。
法律により、投票結果は2年間当局を拘束する。
蔡氏らは市場開放の後退となる禁輸について、「成立すれば国際的信用が失われる」と強調、食肉輸入解禁を受けて本格化した米台経済対話や、9月に正式申請したTPP加盟などの「重大な障害」になると訴えてきた。事前の各種世論調査では、禁輸賛成が反対を上回っていたが、与党・民進党の組織もフル回転、人々の不安
肉の安全性を理由にした禁輸に「科学的根拠がない」(中華経済研究院の李淳博士)との指摘もあった。
今回の不成立で、福島など日本の5県産食品の輸入解禁の可能性も出てきた。2018年の住民投票では5県産食品の輸入禁止案件が成立し、昨年まで当局を縛り続けた。
一方、政権奪還を目指す国民党には、極めて厳しい結果となった。