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【モスクワ=工藤武人】中央アジアの産油国カザフスタンで、新年から燃料価格を2倍に引き上げたことに抗議するデモが起き、4日、全土に拡大した。デモ隊は、旧ソ連時代末期から強権をふるいながら実権を握り続けてきたヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領(81)の政界引退も要求している。

現職のカシムジョマルト・トカエフ大統領は5日、国民向けに演説し、ナザルバエフ氏が2019年の大統領退任後もとどまってきた安全保障会議議長に、自らが就任すると表明し、抗議行動を中止するよう呼びかけた。「国父」とされてきたナザルバエフ氏の完全引退となる可能性がある。
これに先立ち、トカエフ氏は最大都市アルマトイなどに非常事態を宣言し、内閣も総辞職した。混乱が収拾しなかったため、事態の沈静化を図ったとみられる。
抗議デモは2日にカザフスタン西部で始まり、インターファクス通信によると、アルマトイなどでは5日、デモ隊が行政府の庁舎に突入し、治安部隊と衝突した。アルマトイの大統領公邸が炎上しているとの報道もある。治安部隊が離反し、抗議行動に加わる動きも伝えられていた。タス通信によると、内務省は全土で200人以上を拘束したと明らかにした。地元当局によると、衝突による負傷者は500人以上で、死者が出ているとの情報もある。