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【ベルリン=中西賢司、ブリュッセル=畠山朋子】「アンネの日記」を残したユダヤ人少女アンネ・フランク一家がオランダで身を潜めた隠れ家を密告したのは、ユダヤ人社会の同胞だった――。そんな新説を米連邦捜査局(FBI)元捜査官らの調査チームが著作で明らかにした。18日付の独紙フランクフルター・アルゲマイネなどが報じた。
一家の所在が漏れ、逮捕に至った理由は謎とされている。同紙によると、密告者の可能性が高いと指摘されたのはアムステルダムのユダヤ人組織の幹部だった公証人の男性。生き残ったアンネの父オットー氏が戦後に受け取った匿名の書簡に男性の名前の記述があったことなどを根拠としている。
調査に約5年をかけたチームはこの男性について、「自身と家族の安全確保のため」を理由に一家を裏切る「動機、知識、機会があった」とする。男性は強制収容所送りを免れ、1950年に死亡したという。
一家はドイツでのナチスによる迫害を逃れてアムステルダムの民家の隠し部屋で約2年の潜伏生活を送った。ここで日記を書いたアンネは逮捕され、45年、15歳の時に強制収容所で病死した。
アムステルダムの博物館「アンネ・フランクの家」は「今後の研究に役立つ新たな重要情報と素晴らしい仮説だ」との声明を出した。ただ、一部の学者からは「匿名の書簡では根拠が薄い」などの異論も上がっている。