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【ロンドン=深沢亮爾】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8日、英国の下院でビデオ演説した。第2次大戦時のチャーチル英首相の演説にならい、「どのような犠牲を払っても最後まで戦い抜く」と述べ、ロシアへの徹底抗戦を貫く決意を示した。

ゼレンスキー氏は約10分間の演説の多くを、露軍の侵攻で受けた国民の被害の説明に費やし、さらなる対露制裁の強化を求めた。演説の終盤に「我々は森で、野原で、海岸で、通りで戦う」と語り、議場から喝采を浴びた。
この言葉は、第2次大戦中の1940年、ヒトラー率いるナチス・ドイツの電撃戦で英仏連合軍が苦境に陥った際、チャーチルが国民を鼓舞した歴史的演説の表現を思い起こさせる言い回しだ。英国では、2003年のイラク戦争参戦時に当時のブレア首相も引用するなど、今なお愛国心を喚起させる特別な意味合いを持つ。
ウクライナでは、露軍の総攻撃が近く行われるとの観測もある。ゼレンスキー氏としては、ナチス・ドイツと戦ったチャーチルを想起させることで、英国に国際的な対露包囲網を主導するよう促す思惑があったとみられる。