露 冷戦思考のまま…テンプル大ジャパンキャンパス上級准教授 ジェームズ・ブラウン氏[分析 ウクライナ危機]

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 ロシアのプーチン大統領の「誤算」が指摘されているが、誤った判断をしたのには理由がある。事実上のトップに君臨した22年間で、政治システムはより権威主義的になり、ロシア国民への抑圧を強めた。意見する側近は去り、正確な情勢認識を得られなくなった。

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 プーチン氏の思考は、冷戦構造から抜け出していない。ソ連の情報機関、国家保安委員会(KGB)に勤務し、自らが仕えた国家が崩壊する過程をつぶさに見た。そのトラウマが強く、西側陣営が作った北大西洋条約機構(NATO)を今でも敵ととらえている。

 昨年8月に米国がアフガニスタン撤退で混乱したことは、プーチン氏に米国の退潮を印象づけた。1979年にアフガニスタンに侵攻したソ連は89年に撤退し、2年後に崩壊した。プーチン氏にとって、米国を巡るアフガンでの混乱は、ソ連の衰退と崩壊の過程に重なって見えたというわけだ。

 ロシアの帝国主義的な行動は、これまで経済的関心からロシアと協調してきたドイツなど欧州諸国の認識を変えた。今回のウクライナ侵攻で、各国はロシアとの共存は無理だと判断し、米国と足並みをそろえて厳しい対露制裁に踏み切った。

 日本は北方領土問題での譲歩を狙い、ロシアとの経済協力を積極的に進めてきた。安倍政権下では、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合後も日本の対露制裁は先進7か国(G7)の中では軽く、温度差が際立った。プーチン氏は当時、G7のほころびを示そうと日本を利用した面もある。

 今回、プーチン氏は「ウクライナは弱い」と判断し、侵攻を始めた。弱腰な態度はロシアをつけあがらせる。ロシアに厳しい姿勢を示した岸田政権の判断は正しい。見境がなくなったプーチン氏の次の行動が懸念されるが、日本の 毅然きぜん とした対応を期待したい。(聞き手・国際部 梁田真樹子)

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