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【動画】アゾフスタリ製鉄所からウクライナ兵を移送
【キーウ(キエフ)=上地洋実】ロシア国防省は20日夜、ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所を完全に制圧したと発表した。セルゲイ・ショイグ国防相がプーチン大統領に対し、「製鉄所とマリウポリをウクライナの兵士から完全に解放した」と報告し、製鉄所の掌握を伝えたという。
製鉄所では、ウクライナ軍の兵士や内務省系の武装組織「アゾフ大隊」が抗戦を続けていたが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の指示を受け、今月中旬から退避が始まっていた。


露国防省は、16日以降に計2439人の兵士が「投降」したと発表した。20日に「最後の一団が投降」し、「ナチスのアゾフ大隊の『指揮官』は特殊装甲車で連れ出した」と主張した。
ウクライナ国営通信によると、ゼレンスキー氏は20日、露側の発表に先立ち、製鉄所からの兵士の退避が数時間以内に完了すると表明した。ゼレンスキー氏は製鉄所で抗戦してきたウクライナ兵を「完全なる英雄だ。彼らは自らの命を守る権利がある」と強調した。
プーチン露政権は4月21日、南東部の要衝であるマリウポリの「完全掌握」を発表したが、その後もウクライナ兵が製鉄所を拠点に抵抗を続けた。製鉄所の制圧により、マリウポリでのロシアの支配が一層強まるとみられる。マリウポリの市長顧問は20日、SNSで、市内の学校では、今年9月に始まる新学期からロシアの教育プログラムに移行すると投稿し、「怒りを覚える」と非難した。
ゼレンスキー氏は20日、SNSで、東部ハルキウ州南方の都市で文化施設がミサイルで破壊される動画を配信し、子供を含む7人が負傷したと明らかにした。ゼレンスキー氏は「このような(場所を)標的に選ぶのは、完全に悪の所業だ」と非難した。