「世界がトルコの外交勝利を目撃」…強硬姿勢貫き、北欧2国は要求丸のみ

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「クルド」で北欧2国譲歩

 【マドリード=酒井圭吾、横堀裕也】スウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)の新規加盟手続き開始は、反対していたトルコ政府が28日、一転して支持に回ったことで実現の見通しとなった。トルコは、ロシアをにらんで結束を急ぐNATOと安全保障を強化したい北欧2国に要求を丸のみさせる「外交勝利」(トルコメディア)を手にした。

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外交勝利

28日、スペインの首都マドリードで、会談を終えた(左から)NATOのストルテンベルグ事務総長、トルコのエルドアン大統領、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相(ロイター)
28日、スペインの首都マドリードで、会談を終えた(左から)NATOのストルテンベルグ事務総長、トルコのエルドアン大統領、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相(ロイター)

 28日夕、NATO首脳会議の開幕を目前にしたマドリードの会議場で急きょ、トルコが北欧2国のNATO入りを容認する覚書の署名式が行われ、タイップ・エルドアン大統領は、北欧2国の首脳や外相と笑顔で握手を交わした。

 トルコは当初、自国がテロ組織とみなす「クルド労働者党」(PKK)や関連武装組織を北欧2国が支援しているとして加盟に反対。2国のうち特にスウェーデンは、人権重視の観点からスウェーデン在住のクルド人の引き渡しには慎重で交渉は難航してきた。

 ところが、マドリードで28日に2時間行われたトルコと北欧2国などとの首脳協議で、北欧2国はトルコのクルド人勢力らとの戦いを全面支持し、メンバーの引き渡しや資金源の捜査まで約束した。5月末から始まった高官協議で空白だらけだった覚書には、トルコの要求が全て盛り込まれた。トルコのメディアは「世界がトルコの外交勝利を目撃した」(29日付サバハ紙)と称賛した。

結束重視

 強硬姿勢を最後まで示し、要求をのませるエルドアン外交の典型と言える。

 欧米諸国の間では、首脳会議直前まで「トルコの翻意には時間がかかる」との認識が大勢で、ストルテンベルグ事務総長は説得を急いだ。NATOにとっては、世界が注目する首脳会議で足並みを乱せば、ロシアに示す「結束」に影を落とす懸念があった。

 ストルテンベルグ氏は27日、スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相と会談し、全ての要求に応じることを確認したという。

 北欧2国の政権は今後、人権問題で国内から批判にさらされることを承知でロシアの脅威への早期対応を優先した可能性がある。アンデション氏は28日、記者団に「NATOの一員になることが、我々の未来を守ることだ」と話した。

米の後押し

 米国の後押しが決め手になったとの見方がある。米政府高官によると、首脳協議を前に、北欧2国は、ドイツのミュンヘンにいたバイデン米大統領に連絡し、トルコに対して最後の説得を試みるよう要請した。バイデン氏は急きょ、エルドアン氏と電話会談し、「マドリードでのチャンスを逃さないように」と訴えた。

 この展開から、トルコが米国に要求していたF16戦闘機の供与問題で進展があったのではないかとの臆測も飛び交う。高官は「米国が交渉を巡って提示したものは何もない」と話すが、エルドアン氏は28日午前、記者団にわざわざ「米国関係で最も重要なのは、F16の問題だ」と打ち明けていた。

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