[スキャナー]米大統領選 勝者判明 遅れる恐れ…コロナ 郵便投票 増加見込み

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米ノースカロライナ州で、郵便投票用紙の送付作業をする選管職員(4日、ロイター)
米ノースカロライナ州で、郵便投票用紙の送付作業をする選管職員(4日、ロイター)

 米共和党のドナルド・トランプ大統領(74)と民主党のジョー・バイデン候補(77)が争う米大統領選で、11月3日の投票日以降、開票作業を巡って混乱が起きる懸念が強まっている。新型コロナウイルス流行の影響で、郵便投票の大幅な増加が見込まれていることが背景にある。(ワシントン 海谷道隆、蒔田一彦)

8000万人

 大統領選の期日前投票が18日、ミネソタ州など4州で始まった。マスク姿の有権者が、市庁舎などに設置された投票所で、互いに距離をとりながら列を作り、投票箱に1票を投じる光景が見られた。

 投票所が混み合えば感染リスクが高まるため、共和、民主両党とも、早めの投票を呼びかけている。自宅から郵送で投票する有権者も増える見込みだ。選挙制度は州ごとに異なるが、郵便投票は投票手段の一つとして全50州で導入されている。

 米紙ニューヨーク・タイムズが報じた専門家の推計によると、今回の大統領選で郵便投票を選ぶ有権者は約8000万人にのぼる可能性がある。4年前に行われた前回選の投票総数の58%にあたる人数だ。

手間と時間

 郵便投票には、集計に時間がかかるという弱点がある。多くの場合、投票用紙は二重に封印された状態で選管当局に届くため、まずはその開封に手間がかかる。本人確認のため、内封筒に書かれた署名と、事前の有権者登録時の署名を照合する作業も必要になる。

 大量の票が一気に押し寄せて郵便局の処理能力を超え、選管への配達が遅れる懸念もある。18州と首都ワシントンでは、投票日の消印があれば翌日以降の到着分も有効とみなされる。

 このため、選挙当日に勝者が判明する可能性は低いとの見方が広がっている。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は17日、結果判明には「数週間を要するかもしれない」と報じた。今年4~6月に実施された民主党の予備選では郵便投票が急増し、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ジョージア州の開票率が99%を超えるまでに6~9日かかったという。いずれも本選で接戦が予想される州だ。

 6月のニューヨーク州の予備選では、消印が正しく押されていなかったなどの理由で、大量の票が無効になるという問題も起きた。各地の選管は、そうしたトラブルや集計ミスに加え、別人へのなりすましや、投票用紙の偽造といった不正にも身構えている。

 米メディアによると、接戦州のノースカロライナ州では、郵便で投票を済ませた有権者がそれを隠し、選挙当日に投票所で投票を試みた場合、選管側は暫定的な投票を認めることもあるという。二重投票があれば集計の際に発見できる仕組みだが、そうしたケースが増えれば開票作業に余分な負荷がかかる。

警戒

 トランプ氏は、郵便投票は不正につながりやすいと主張し、批判的な発言を繰り返してきた。「歴史上最も不正の多い選挙になる」と語ったこともある。このため、熱烈な支持者の多くは、感染リスクを冒してでも投票所へ足を運ぶとみられている。

 米ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、トランプ支持者の80%が選挙当日か期日前に投票所を訪れる意向を示し、郵送するという人は17%にとどまった。これに対し、バイデン支持者は58%が郵便投票を選ぶ意向を示した。

 実際にそうなれば、開票初日はトランプ氏が圧倒的に優勢だが、集計が進むに従ってバイデン票が積み上がる――。そんな展開が予想される。民主党は、トランプ氏が郵便投票の集計を待たず、開票初日の結果だけで勝利宣言してしまうのではないかと警戒している。

集計に異議次々?…「同時に就任宣言」可能性も

 2016年の大統領選では、投票日翌日の午前2時29分(米東部時間)に「トランプ氏勝利」の速報が流れ、民主党のヒラリー・クリントン候補はその直後にトランプ氏に電話を入れて敗北を認めた。

 しかし、今回は通常とは大きく異なる状況での選挙だけに、両党間で集計の不備や不正を訴える申し立てが相次ぐ可能性がある。米メディアは、勝敗が決まらない事態を想定し、様々なシナリオを伝えている。

 例えば接戦州のミシガン州では、州知事が民主党、州議会多数派は共和党のため、開票結果を巡り州政府内で争いが生じやすいとみられている。このため、政治学者らの見方では、州の行政府と議会がそれぞれ異なる開票結果を連邦議会に提出する可能性がある。

 連邦議会では、上院と下院がそれぞれ別々の開票結果を有効とみなし、異なる大統領の当選を宣言する事態も起こり得るという。

 トランプ氏の1期目の任期は、米憲法の規定に基づき、2021年1月20日正午に終了する。それまでにどちらかが敗北を認めなければ、トランプ氏とバイデン氏がそれぞれ同時に大統領就任宣言に踏み切る可能性も排除できない。オハイオ州立大のスティーブン・ハフナー教授(選挙法制)は「かなりの確率とまでは言わないが、現実に起こり得ることだ」と語る。

 共和党のジョージ・ブッシュ氏(子)と民主党のアル・ゴア氏が争った2000年の大統領選では、フロリダ州で開票結果に疑義が生じ、投票日から1か月以上にわたり勝者が確定しなかった。最終的にはゴア氏が世論の撤退圧力に押される形で敗北を認めたが、その間、両党は再集計の是非などを巡って提訴と非難の応酬を繰り広げた。

 現在は当時より党派対立が先鋭化しており、選挙結果を巡って混乱が生じた場合、事態収拾ははるかに難しいとみられている。

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1490118 0 アメリカ大統領選挙2020 2020/09/20 05:00:00 2020/10/22 12:32:03 Poll workers prepare absentee ballots for shipment at the Wake County Board of Elections on the first day that the state started mailing them out, in Raleigh, North Carolina, U.S. September 4, 2020.    REUTERS/Jonathan Drake https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200919-OYT1I50073-T.jpg?type=thumbnail

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