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「女性初」届かず クリントン氏 戦略不発…「ガラスの天井」再び

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 【ニューヨーク=水野哲也、有光裕】米大統領選で女性初の大統領を目指した民主党候補ヒラリー・クリントン氏(69)は「ガラスの天井」にまたも、はね返された。

 投開票日の8日夜、クリントン氏の集会は女性の社会進出を阻む目に見えない壁や偏見を指す「ガラスの天井」をイメージしたニューヨーク市内のホールで行われた。深夜になり、共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)の優勢が鮮明となるにつれ、険しい表情を浮かべる支持者が増え、重苦しい空気に包まれた。9日未明にトランプ氏が勝利宣言を行う見通しだと伝えられると、結果を見届けずに会場を後にする人が相次いだ。

格差解消訴え

 ジョージア州から来たという高校教師エリナ・アブラハムさん(53)は、「本当にがっかり。これまで米国が築き上げてきたものが失われるのではないかという恐怖感が強い」と肩を落とした。

 オバマ大統領と民主党候補の座を争った2008年の大統領選で、クリントン氏はあえて女性であることを前面に出さなかった。軍の最高司令官を務める大統領を意識し、性別に関係なく、「強さ」を前面に出す戦略だった。

 だが今回は、集会の演説などで、女性が均等に機会を得られる社会の実現や男女の賃金格差の解消などを訴えた。トランプ氏との討論会でも、自分が女性や子どもの権利向上などの政策に取り組んできたことを頻繁に取り上げ、トランプ氏の女性へのわいせつ発言・疑惑も攻撃。女性の立場を最大限に生かした選挙戦を打ち出した。

 トランプ陣営から「性別を武器にしている」と批判されても「女性の権利向上のために戦うことが『性別利用』だと言うなら受けて立つ」と真っ向から挑んだ。

強い指導者

 だが、こうした訴えは、白人男性を中心とした保守層や労働者層には届かなかった。こうした層の多くが求めていたのは、移民の増加、雇用不安、テロの脅威に対応する「強い指導者」だった。米紙ワシントン・ポストとABCニュースの直前の世論調査でも、クリントン氏は女性有権者の51%の支持を得たが、男性有権者では43%にとどまった。経済運営の手腕に対する有権者の評価は、トランプ氏の方が常に上回っていた。

 クリントン氏は、国務長官時代に私用メールアドレスを使用していた「メール問題」で有権者に「信用できない」との印象を植え付け、10月末に連邦捜査局(FBI)が同問題の追加捜査に乗り出したことで、勢いは失速した。

 陣営の選対本部長ジョン・ポデスタ氏は9日未明、支持者らに「彼女は素晴らしい成果を残した。誇りに思う。彼女は、まだ終わりではない」と強調したが、少なくとも、ヒラリー・クリントン氏の今回の「再挑戦」は終わりを告げた。

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1517467 0 アメリカ大統領選挙2020 2016/11/10 05:00:00 2016/11/10 05:00:00

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