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[スキャナー]トランプ氏、政権人事 バランス配慮

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首席補佐官に党主流派 上級顧問に選対トップ

 次期米大統領のドナルド・トランプ氏(70)が来年1月の政権発足に向けた作業を本格化させている。第1弾の人事は、選挙戦での共和党と陣営それぞれの責任者をホワイトハウスの重要ポストに起用し、バランスに配慮した。政策面では、「米国第一」の内向きな立場は維持しつつ、実現可能性を踏まえた軌道修正が相次いでいる。

 トランプ氏は13日、新政権の大統領首席補佐官にラインス・プリーバス共和党全国委員長(44)、大統領上級顧問・首席戦略官に保守系メディア会長で選対トップのスティーブン・バノン氏(62)をそれぞれ任命した。

 プリーバス氏は今回の選挙を党側で仕切った党主流派、バノン氏は過激な政策をぶち上げる「トランプ路線」を推進した陣営の側近だ。トランプ氏は声明で「両氏は選挙活動で共によく働き、歴史的な勝利に導いてくれた。今度は偉大な米国を取り戻すため、ホワイトハウスに入ってもらう」と期待感を示した。

 いずれの役職も閣僚とは違い、上院の承認は不要で職務や権限について法律上の規定はない。いわば「大統領専属スタッフ」だ。

 プリーバス氏は大統領行政府のトップとして、政権運営に大きな影響力を持つことになる。一方、トランプ氏は、常設でない「大統領上級顧問」や「首席戦略官」の職務内容を明らかにしていないが、バノン氏に大きな権限を持たせる考え。実際、発表文ではバノン氏の任命を先に掲げた。どちらがより力を持つのか、2人をどう動かすのかはトランプ氏の意向次第だ。

「穏健」VS「過激」

 プリーバス氏は党務に精通し、党内の選挙で選ばれる共和党全国委員長として、大統領選で党の政治資金集めや配分を主に担当した。

 終盤戦でトランプ氏に女性へのわいせつ発言問題が発覚し、逆風が吹いた際も、党議員が続々とトランプ氏を見限る中で支え続け、同氏の厚い信頼を得た。穏やかな性格で、同じウィスコンシン州出身のポール・ライアン下院議長ら親しい議員も多く、党との調整役としてはうってつけだ。

 バノン氏も選挙戦の助言者としてトランプ氏の移民排斥などの過激路線を推進し、「トランプ旋風」を陰で支えた。8月に選対トップに就くと、勝利のポイントにもなったウィスコンシン州などの攻略を進言した。

 ただ、バノン氏は「けんか屋」の異名をとり、自ら会長を務める保守系メディアを通じ、共和党の議会運営を「オバマ政権とグルだ」と批判してきた。人事発表前、ライアン氏はバノン氏について「会ったこともないし、関心もない」と米CNNテレビに吐き捨てた。

 米紙ワシントン・ポストは今回の人事について、「党のエスタブリッシュメント(既存支配層)と政界のアウトサイダーをホワイトハウスで競わせるつもりだ」と指摘した。党と協力した穏健路線か、旋風を起こした過激路線の再現か――。トランプ氏は世論の動向を踏まえ、2人の起用方法を見定めるとみられる。

公約を次々軌道修正

 「壁は作る。ただ、ある場所ではフェンスもあり得るし、ある場所では壁の方がよりふさわしい」――。

 トランプ氏は13日に放送された米CBSテレビのインタビューで、メキシコとの国境全域での壁建設や約1100万人とされる米国に滞在する不法移民の強制送還、医療保険制度改革「オバマケア」の廃止という、選挙戦でぶち上げた公約について、過去の発言通りの実施にはこだわらない意向をあっさりと示した。

 いずれも主張そのものを撤回したとは認めないが、内容を大幅に弱めるものだ。

 日本や韓国の核保有容認の立場についても、「トランプ氏はもっと多くの国が核を保有すべきだと主張してきた」とする米紙ニューヨーク・タイムズの報道に対し、「大うそだ。そんなことは一度も言っていない」とツイッターで否定した。あくまで米国から核保有を求める立場ではないと反論したものとみられる。

 トランプ氏は自著で、宣伝のためには「少々の誇張は構わない」と記しており、選挙戦では、有権者へのアピールを重視した過激な発言を確信犯的に行っていたとみられる。このため、軌道修正は想定通りとの見方もある。

 ただ、在日米軍駐留経費負担の大幅引き上げ要求や、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退については、軌道修正があるのかどうかは現時点で不明だ。(ワシントン 小川聡、黒見周平)

※「大統領上級顧問」(senior counselor to the President)=大統領に幅広い分野で助言を行う。政権によって人を置くかどうか異なり、置かない場合も多い。通常は首席補佐官の方が立場が上だが、ブッシュ元大統領(子)が2001年に指名した選挙参謀カール・ローブ氏のように政権内で絶大な権力をふるった例もある。

※「大統領首席補佐官」(White House chief of staff)=大統領行政府のトップ。大統領の最側近として、日程調整、閣僚・省庁間の調整などを担い、大きな影響力を持つ。大統領と気心の知れた比較的若手の人材が起用される。

◆トランプ氏の主張の変化

 (選挙戦での主張)
  ↓
 (大統領選勝利後の発言)

▽国境の壁
 メキシコとの国境に巨大な壁を作る。費用はメキシコに払わせる
  ↓
 壁は作るが、一部はフェンスもあり得る

▽不法移民
 米国に居住する不法移民1100万人を強制送還する
  ↓
 犯罪歴がある200万~300万人を国外追放するか投獄する

▽オバマケア
 廃止する
  ↓
 (現行法は)修正されるか、廃止されるかだ

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1523498 0 アメリカ大統領選挙2020 2016/11/15 05:00:00 2016/11/15 05:00:00

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