「#MAGA」で見るアメリカ大統領選挙

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 投開票を迎えたアメリカ大統領選挙。共和党のトランプ大統領の支持者がTwitterに投稿したつぶやきを分析すると、見えてくるものがある。支持者の多くはトランプ氏が唱えるスローガン「MAGA」(Make America Great Again=アメリカを再び偉大な国に)を投稿やプロフィル欄に添えている。データ分析会社「テクノスデータサイエンス・エンジニアリング」(東京・新宿区)の協力を得て、民主党のバイデン前副大統領と激しく争ったこの1か月間に、「MAGA」の4文字とともに投稿されたつぶやきを分析した。

コロナ感染の衝撃

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、大統領選にも大きな影響を与えた。10月2日、トランプ氏自身の感染が明らかになり、メラニア夫人や側近も次々に感染していることが分かった。大統領のコロナ対策が不十分であることを身で示してしまった形となった。

 トランプ氏は、わずか3日で退院。ウイルスに打ち勝った強い指導者として劇的な復活を演出し、早期に選挙態勢を立て直す構えだったが、ウイルスの危険性を過小評価するような言動には批判も出ている。

 トランプ氏の支持者らが使用するハッシュタグ付きの「#MAGA」などのツイート数をみると、トランプ氏の感染が判明する前の10月1日までは、新型コロナに関する投稿は約1500~5500件で推移していたが、2日には1万7000件以上に急増。1万件以上の水準が7日まで続いた。8日以降はピークの半分以下に落ち着いたものの、トランプ氏の感染前と比べると依然として多く、支持者の間でもコロナへの関心が高まっていることがうかがえる。

 この間に投稿されたツイートでは、トランプ氏の早期回復を願うものや、トランプ氏が退院前の5日朝に約20回立て続けに行った「投票を!」などの投稿をリツイートするものが数多くみられた。

 一方で、支持者以外からは、トランプ氏の入院を伝えるニュースとともに、「これでも、コロナウイルスは大したことがないと言える?」などの投稿があり、大統領のコロナを軽視する姿勢を批判するツイートも目立った。

 アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめたデータによると、トランプ氏の支持率は入院を挟んで42.9%(10月1日)から42.0%(10月8日)に微減。ただ、7ポイント弱だったバイデン氏との差は、退院後には一時10ポイント以上に広がっていた。選挙戦終盤で「失点」してしまったトランプ氏支持者の焦りが、ツイート数急増につながった可能性もある。

異例のテレビ討論会

 勝敗に大きな影響を与えるビッグイベントとして、大統領選のたびに大きな注目を集める候補者テレビ討論会も、異例の経過をたどった。

 9月29日の第1回討論会では、双方とも相手の発言を遮る行為が目立ち、政策論争とはほど遠い事態に、メディアからは「史上最悪の討論会」と酷評された。10月15日に予定されていた第2回はトランプ氏の感染判明で中止となり、22日の第3回は不規則発言こそ抑制できたものの、一部の報道などに依拠した「疑惑」を巡る応酬に時間が費やされ、政策論争は深まらなかった。

 トランプ支持者らによる「討論会」を巡る投稿をみると、司会者の制止を振り切って激しくバイデン氏を攻め立てた1回目の討論会の直後に多くなり、ペンス副大統領と民主党副大統領候補のハリス上院議員による討論会(10月7日)の直後にも大きく投稿数が伸びている。

 当時の投稿では、トランプ氏の発言内容を称賛する投稿のほか、発言中に割り込んできたトランプ氏を制するバイデン氏が「愚か者」「黙れ」などと発言した場面を切り取り、バイデン氏を「無礼だ」と非難する投稿などがあった。

 討論会直後に行われたCBSニュースの世論調査では、どちらが勝利したかについて、バイデン氏との回答が48%、トランプ氏が41%、引き分けが10%と、ほぼ支持率に沿った評価だった。「#MAGA」を掲げる人たちのトランプ支持の信念は、討論会が「史上最悪」であっても揺るがなかったことになる。

最高裁判事指名でも投稿急伸

 トランプ氏が今回の大統領選で、コロナ前まで好調だった経済に代わる内政上の成果として掲げるのは、保守派バレット氏の連邦最高裁判所判事への指名だ。最高裁判事9人の構成は、保守派6人、リベラル派3人となり、移民政策や銃規制などアメリカ社会のあり方に大きな影響が及ぶ裁判での保守派優位が決定的となった。コロナ対策の一環として利用が広がる郵便投票に反対するトランプ氏が、選挙結果に不審を訴えて決着を法廷闘争に持ち込んだ場合、自身に有利に働くとの算段もあるとされる。

 10月21日までのトランプ支持層による投稿数は、トランプ氏が民主党の反対を押し切って候補者を示す意向を示した9月18日の後が最も多かった。その後、バレット氏の指名(9月26日)、バイデン氏による最高裁判事の定員増加についての発言(10月8日)、上院司法委員会での公聴会開始(同12日)など、出来事があるたびに増加の山が見られる。

 ツイッターで、トランプ支持者らはバレット氏の発言や大統領選前に駆け込みで指名に動いたトランプ氏を礼賛するつぶやきを繰り返した。バイデン氏が判事増員の是非について大統領選を制した後に態度を表明すると発言した後には、「バイデンは経済を崩壊させ、最高裁判事を増員させようとしている。これは国が求めていることではない!」というトランプ氏によるツイートが、多くリツイートされた。

 保守層向けの明確なアピール材料となり得る最高裁判事の指名について、支持者らも情報発信に力を入れていたことがうかがえる。

 トランプ大統領は任期中も、自説に反する大手メディアによる報道を「フェイクだ」と切り捨て、自らツイッターで言葉を発してきた。今回の大統領選でもSNSによるアピールに余念がなく、その支持者も大統領に追随するかのようにツイッターでの発信を続けた。激戦となっている大統領選を終えたとき、「#MAGA」とともにインターネット上にあふれるのは、喝采か悪態か。

 3日の投開票から開票結果の確定までは時間を要する可能性も指摘されており、支持者によるネット上での様々な主張から目が離せない状況は、まだしばらく続くことになりそうだ。(読売新聞オンライン 北村友啓)※文中の日付は現地時間。

 ツイートの分析手法 ツイッターの全投稿の10%を無作為で取得したデータを10倍に拡大し、件数を算出。10月21日までの1か月間の大統領選関連の投稿を対象とし、プロフィルに「MAGA」、「#MAGA」が含まれるアメリカ在住と推定される投稿者を「トランプ大統領支持層」と見立て、「Coronavirus(コロナウイルス)」「Debates(討論会)」「Supreme Court(連邦最高裁判所)」のキーワードでの検索数を分析した。

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1603801 0 アメリカ大統領選挙2020 2020/11/05 12:00:00 2020/11/05 12:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201104-OYT8I50139-T.jpg?type=thumbnail

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