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    インフォバーン

    メディアとしての矜持を持て…インフォバーン(後編)

    メディア同士での情報共有を

    • 「媒体を横同士で協力させようと尽力しているのは、スポンサーの意識を変えさせたいからですね」
      「媒体を横同士で協力させようと尽力しているのは、スポンサーの意識を変えさせたいからですね」

    ――スポンサーの意識もですか?

     スポンサー側にもそういう意識をもっていただきたいし、メディア側も自分たちが枠をちゃんとどういうふうに管理するかを考えるべきです。そのためにはパブリッシャー同士でちゃんと組むことも必要です。1媒体だけを売ってビジネスを成立させるのは、もはや困難な時代になっています。これからは、信頼できるメディアがお互いに組んで、信頼できるアドネットワークを共同で作り、それを買ってもらうようにした方が良いと思います。そうすれば、スポンサーも安心して広告を買いやすいし、こちら側も提供しやすい。

    ――今田さんが媒体を何とか横同士で協力させようと尽力しているのは、そういう目標があるからなんですね。

     失礼なことを言っても良いですか? メディアの人たちって、意外と情報を持っていないんですよ。いや、情報を持っていてもバラバラで、お互いに秘密主義で横同士で話をしない。特に新聞社はそうですね。出版社もそういうところが少しあったのかなと思います。本当は、広告テクノロジーは何を採用するのかなどについて、共同で検討すれば良いと思うんですが、テクノロジー側が主導権を持っているような形がずっと続いてきました。私はそこにすごく危機感を持ったんですよね。

     媒体社が情報を持たなきゃいけない。媒体社がテクノロジーを選ぶというようにしないといけないと絶対ダメだ、と。自分たちの広告を管理するためには、どんなツールが最適かを、自分たちで考えないといけない。でも一媒体一媒体は小さいから、それぞれが個別にやると、広告主が媒体を買う時に困るんです。なので、そこは一緒にやるという流れを、全員でやらなくてもいいので、こことここは似ているから一緒にやりましょうとか、ここは協力しましょうといった流れが生まれてくるといいなあと思います。

    ――広告主が、全国紙すべてのサイトに広告を同時に打てるとか、女性誌のサイトと大手小町のサイトの広告枠をパッケージにして売るとか、そういったことでしょうか。

     そうなると、ヤフーなどのプラットフォーマーとのやり取りももっとスムーズになるのではないでしょうか。パブリッシャーが本当は何を望んでいるかということも、今は媒体がバラバラなので分かりづらいんだと思います。

    水面下のトラブルが表に出た

    • フェイクニュース問題が大規模に噴出した(写真はイメージ)
      フェイクニュース問題が大規模に噴出した(写真はイメージ)

    ――フェイクニュース問題ですとか、ヘイトサイトに広告が載るといった問題が、これほどの規模で表に出たのは初めてで、スポンサーがネットから逃げていくという現実の動きにもつながり、一時的にネットメディアは苦しい時代を迎えていますが、業界が適正化していくためには、逆にチャンスかもしれませんね。

     今までも、水面下でずっと起こっていたことなんです。でも、心ある人はずっと言っていたんですよ。ただ、それが大きな流れにはならなかった。だから、今の動きはネット業界にとってすごくいいことなんです。今は問題がたくさん起きていますが、逆に良くなろうとしている段階なんですよ。

    ――このチャンスをちゃんと生かさないとダメですよね。

     そうですよね。盗用問題にしても、これまでもずっとあったんですよ。DeNAのような大手上場企業がやったので、初めてここまで社会問題化しただけなんです。今までも若いベンチャーがやって、そのたびにたたかれて潰されてみたいなことを繰り返していたんです。もう、3、4回目くらいになると思います。

    ネットはまだまだ面白い

    • ネットの理想形を再び追えるようになった(写真はイメージ)
      ネットの理想形を再び追えるようになった(写真はイメージ)

    ――フェイクニュース、著作権侵害、広告引き揚げと、ここにきてネットの様々な問題が一気に噴出しましたが、それらは偶然なんでしょうか?

     ネットの中にジャーナリズムが生まれて、個人がブログで批判するというレベルを超えてきたのが原因かな、と思いますね。

    ――新聞メディアが相互批判するように、ネットが力を持って、互いを監視するようになってきたからということですか?

     かもしれませんね。匿名の人に告発されて炎上する、といった形とは全然違う流れが起き始めています。ネット上でいろいろなメディアが出てきたことも、そんな流れを加速させたと思います。

    ――会社を作ったころ、ネットの理想像をみんなで追い求めるのが面白かったという発言がありました。ひょっとして、またネットの理想形を再び追えるようになった今の状況も面白くなってきたと思っていませんか?

     今も面白いですね。まだまだいろいろなビジネスができるし、ネットの情報はさらに良くなっていくと思います。多様化という意味では、もう限界なくらい多様化しています。そこからまた、面白くなってくると思います。

    2017年04月18日 17時45分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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