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簿記の美しさに目覚め公認会計士へ

2017年公認会計士試験に全国最年少で合格した伴野満希さん(20歳 商学部3年)

 昨年2017年公認会計士試験(論文式試験)に2年次19歳で全国最年少合格した伴野満希さんは中央大学商学部3年生。中大経理研究所で学び、合格率11・2%の難関を突破した。

合格心得3カ条

  • あきらめない
  • 素直で謙虚に
  • 感謝の気持ちを忘れずに

 全国最年少合格者は中大に5人、全国に14人(含む中大勢)。一方、全国最高齢は62歳、同平均年齢は26歳だった。

 合格発表があったのは昨年11月17日、東京・霞が関の金融庁で合格者(受験番号)が掲示される。解禁は午前9時。伴野さんは同7時半過ぎに到着していた。

 混乱を避けるため、数人単位で掲示板前へ進むという。第1組で見た。

 合格者1231人の受験番号が並んでいる。番号の並びが縦なのか、横なのか分からない。自らの番号が見当たらず、前夜からの不安な気持ちが膨れ上がった。が、ついに見つけた。「110743」があった。

 1年生だった2016年12月の「短答式試験」に合格、2年生の17年8月に受験した「論文式試験」の結果がこの日出て合格。難関の公認会計士試験にストレートで合格した。

 経理研の小島先生が笑顔で迎えてくれた。「握手していただき、『これからだよ』と激励されました」。

 スマートフォンを取り出し、愛知県に住む母親にすぐ連絡した。母の声を聞いた途端、泣いてしまったという。張り詰めていた気持ちが、いっぺんに和らいだ。

 母はまだ合否を聞いていない。「ど2018 春号HAKUMON Chuo 25うしたの?」「受かったよ」「良かった、おめでとう!」

 次は父親へコールした。3人目は母校・豊橋商業高の部活動「簿記部」顧問の先生だ。「私、電話するたび泣いてしまって、3回泣きました」。うれしい涙である。吉報を受けた人たちも、うれし涙だったのだろう。

 共に合格した中大経理研の仲間と霞が関から浅草へ。観音様で知られる浅草寺に「願解き」のお礼参りをした。

 夜は先輩らが祝賀会を開いてくれた。「おいしいお肉からスイーツまで、ごちそうになりました」。話に花が咲き、よく食べ、よく笑った。みんなの笑顔が並んだ。

負けず嫌い

 中大入学後、すぐに公認会計士試験に備え、規則正しい生活を心掛けた。

 午前6時起床。大学開門の同8時には門前に立ち、8時15分から始まる経理研の朝の答案練習に参加。商学部会計学科の授業を受け、空きコマには学生研究棟「炎の塔」で自習。

 夜は再び経理研で答案練習、会計学、監査論、企業法などを学ぶ。夜9時には大学を離れ、自宅へ戻る。そしてまた勉強する。

 友人たちとの食事会があっても、翌朝8時前には門前にいた。「朝は絶対に行くと決めていました。負けず嫌いですから」。

 食事は昼夜ともに学生食堂「ヒルトップ」へ。根を詰めると食べない日もある。母はそれを知っているから、チョコレートや野菜ジュースなどを宅配便に詰める。いつも箱から飛び出てくるほどの量だった。

 父と母が月1回程度、東京にやってきた。娘の住まいで母が料理をつくる。外食へ出掛けることも。上京メンバーに姉や弟が加わる日もあった。

 「そのおかげで勉強を続けられましたね。母に『ちゃんと食べてるの?』と何度言われたことか」

 家族の愛に包まれ育ってきたが、1年次の12月は孤軍奮闘した。短答式試験直前に19歳の誕生日を迎えた。これまで楽しかったお祝いムードは、ここにはなくて、自室でひとり机に向かった。

 「いまは、きついけれど、やるしかない」

 短答式試験は年2回あり、翌年5月の受験でもいいのだが、「2年生の8月(論文式試験)受験で合格するには、いま、やるしかない。誕生日なのに、もうサイアク」と、いいながらも持ち前の負けず嫌いが頭を持たげた。

 振り返れば、しみじみ思うことがある。経理研で共に勉強した仲間との濃密な交流だ。

 「同じ年に受験した人たちとは、学年に関係なく仲が良いです。お互いが苦しいときを知っている。悩み相談を1日中したこともありました。私の生涯の友だちです。一生お付き合いしていきたい」

 伴野さんは、受験を通して「三大国家資格」公認会計士試験合格に勝るとも劣らない、かけがえのない友を得た。 

全国簿記コン

 豊橋商高簿記部が公認会計士への第一歩だった。貸方・借方の貸借対照がピタリと合う。

 「簿記は美しいと先生が言っていました。私もそう思います。計算が合うとすっきりして気持ちがいい。勉強していて『面白い』と思ったのは簿記が初めてでした」

 同校は、商業高校生による「全国高校簿記コンクール」(初開催1984年、年1回実施)ベスト10の常連校。ここでもまれ、高校3年で日商簿記検定1級に合格した。

 同検定1級は公認会計士や税理士の登竜門といわれ、合格率は10%前後。「高校生が現役合格することは快挙です」と同校はHPで紹介している。

 検定1級合格で、中大推薦入学の道が開かれた。他大学とどちらにするか迷っていたところ、簿記部顧問の先生に「会計士になりたいなら中大、経理研究所がいい」と勧められた。全国簿記コンに参加する他校教師の間でも中大進学を推す声が高かったという。

 経理研の現役公認会計士の講師陣はオール中大、オール経理研出身だ。「公認会計士が身近に感じられ、先生たちは会計士の仕事を楽しそうに話してくれます。魅力ある仕事なんだと思いました」

 『公認会計士とは、企業を動かし、経済を動かし、社会を動かす仕事』と経理研発行の資料にある。医師、弁護士と並ぶ専門職の代表だ。試験合格後は実務経験(2年以上)を積むなどして、晴れて公認会計士に登録される。

 今後は語学力と情報処理能力をプラスした独自スタイルの公認会計士を目指すという。相手のニーズを把握して、問題点を見出し解決する。「あの人に聞けば何でも処理してくれる。そんな存在になりたい」。一方で故郷に貢献したい気持ちもある。

 希望が次々と湧いてくる。

へぇ~もっと知りたい 公認会計士試験、中大の合格者は77人

 2017年の公認会計士試験(論文式試験)全国合格者1,231人のうち、中大の合格者は77人だった(経理研究所の独自調査と公認会計士白門会の調査に基づく)。

 経理研の現役合格者は28人で、現役合格率は46・7%。全国の同割合は38・9%。 経理研の2年生合格者は7人、うち最年少(19歳)合格者が5人。全国の最年少合格は14人だった。

へぇ~もっと知りたい 合格体験報告会

 中大経理研究所主催の公認会計士試験「合格体験報告会」が昨年12月に行われ、伴野さんらが後輩受験生を激励した。

 伴野さんからのメッセージは「あきらめない、素直で謙虚に、感謝の気持ちを忘れない」。自ら実践してきた、合格までの心得三か条だった。

へぇ~もっと知りたい 特産のちくわ

 伴野さんのふるさと、豊橋市の特産は「ちくわ」。地元ではお盆や正月の進物として、ちくわが好まれている。おでんや煮物のレギュラーメンバーであり、子どもたちにはチーズやきゅうりを入れたものが人気という。