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小堀 光一さん

小堀 光一さん【略歴

自分だけの強みを見つけに、単身中国へ

小堀 光一さん/弁護士

これからの時代は中国がキーワードになる。
ここ数年、中国語もしっかりと勉強してきた。

「行くなら、“今”しかない―」

 弁護士になって3年。小堀光一氏は中央大学法学部の客員講師も務め、順風万端な日々を送っていた。そんなキャリアをいったんすべてリセットし、2011年に上海師範大学、そして、北京・清華大学に単身留学をした。 

 目的は、中国語のスキルアップと、律師(中国の弁護士)事務所での中国法の研修だった。しかし、その時すでに31歳。不安はなかったのだろうか。

 「この人、頭がいいな、努力しても敵わないなと思う相手が自分の周りにたくさんいました。そんな中で、自らの存在感を高めていくためには、自分ならではの強みを見つけるしかない。そのためには、どんどん外に出て、人とのつながりを深め、そこから何か新たな価値を生み出みだしていくことが必要です。それが、僕にとって中国だったわけです。」

 こうして意気揚々中国に渡った小堀氏だが、日々の生活は想像以上にエキサイティングだった。

 「北京にいたときは、現地に馴染むため、あえて中国人だけのアパートに住みました。きれいな部屋だと思って借りましたが、シャワーをひねったら壁から水が出てくるわ、トイレの水が流れないと思ったらなぜか洗濯機から水があふれてくるわ、雨が降るたびに部屋の中の壁ははがれるわ、本当に大変でした。こんなこと、楽しいと思わなければ、辛すぎるでしょう。」小堀氏はそう笑顔で振り返る。

中国で自著本を出す!

 30歳を過ぎての留学目的が語学力アップと中国法を学ぶだけでは、さすがに心もとない。小堀氏はもうひとつ、自分の中でやりたいことを決めた。それが、自著本の出版である。

 「以前、上海に旅行に行ったときにたまたま本屋に行ったら、欧米などへの留学本は充実しているのに、日本への留学に関する情報が乏しいことに気がつきました。毎年多くの中国人が日本に留学しているのに、有用な本がないなんておかしい。ならば、自分で出そうと考えたのです。」

 内容は、日本へ留学する方法から、奨学金紹介、アルバイトの探し方、大学・大学院卒業後をにらんだ留学生活の過ごし方、その後の就職活動に加え、生活費の節約方法など。日本にいる中国人留学生や中国にいる帰国した留学生にアンケートを取って、具体的なコンテンツを決めた。

中国人のための最新日本留学必携ハンドブック『去日本留学吧!』(上海遠東出版社)40元

 執筆開始直後から出版元も探し始めた。とりあえず、北京在住の日本人の知り合いに相談してみたが、「そんな無計画な話では厳しい。」と否定的な意見が多かった。だが、中国人に同じ話をすると、出版社や大学を紹介してくれるなど建設的なアドバイスをくれる人が多かった。日本人と中国人の違いを実感した瞬間だった。

 「中国人の、考え方が情熱的で前向きなところがとても好きです。もちろん、中国に行って日本人のいいところもたくさん見えてきました。」

 企画書はさまざまな出版社に持ち込んだ。しかし、東日本大震災の直後だったこともあって、「日本への留学指南本は出しても売れない」と、ことごとく断られた。それでも諦めず、一度は断られた出版社を中国人の知人に説得してもらうことで、ついに自著本である『去日本留学吧!』の中国での出版にこぎつけた。

日本と中国を結ぶ懸け橋として

 2012年、小堀氏は日中間の法律関係を扱う弁護士事務所に所属。同事務所グループの上海事務所・香港事務所での勤務を経て、日本に帰国した。日本と中国を結ぶ懸け橋として、自分だからこそつなげられる関係、広げられる関係の構築に尽力している。

 「今後も、やりたいこととやれることを見極めながら、自らの強みを活かして仕事をしていきたいと考えています。魅力ある企画も数多く発信しつつ、多くの方々を巻き込んで、よりよい日中関係を築いていきたいですね」。

小堀 光一(こぼり・こういち)さん
1979年富山県生まれ。2002年中央大学法学部法律学科卒、2008年弁護士となる。国内法律事務所で勤務する傍ら、2010年中央大学法学部客員講師を務め(~2011年)、2011年上海師範大学、清華大学にて語学留学、潤明律師事務所(北京)にて実務研修。2012年弁護士法人キャスト参画。