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遠藤 利明さん

遠藤 利明さん【略歴

「結果の平等はない」―今こそ教育の方針転換を―

遠藤 利明さん/自民党教育再生実行本部長・衆議院議員

 2013年5月に安倍首相が発表した成長戦略第2弾。ここで明確に打ち出したのが、「日本の大学から世界の大学へ―」。大学のグローバル化を目指し、教育改革の実現をうたっている。

 これに先立って自民党教育再生実行本部が安倍首相へ提言したのが「大学入試へのTOEFL導入」だ。同本部長を務める遠藤利明衆議院議員は安倍首相のもと積極的に教育改革を推し進めている。

学校教育の多様化を目指して

 日本の小学校は現状、横並び主義である。“能力や成長スピード、興味や関心が違う”ことがこれまでの日本では認められてこなかったからだ。しかし今回、自民党教育再生実行本部は、教育改革に関わる提言の冒頭で「結果の平等はない」とはっきり打ち出している。伸びたい子供が十分に伸びられず、苦労している子供はずっと苦労するという構図から抜け出すためだ。

 「我々団塊の世代は1年に270万人も生まれて、一斉に教えるシステムしかありませんでした。その時代はそれでよかったのですが、今、子どもたちの数が1年に100万人規模になってきています。それを昔ながらに、全体を同じシステムで教えるというのは、構造自体がおかしいですね。現在よりも、むしろ戦前の教育のほうがバラエティに富んでいました。できる子は飛び級もたくさんしていたし、当然のごとく留年する子もたくさんいましたから。」そう語るのは、自民党教育再生実行本部長を務める遠藤利明衆議院議員だ。

 学校教育も少しずつ変わってきてはいるが、まだ十分ではない。小学校では、成果をあまり評価しないのに、中学校に入ると突然受験競争、成果主義になってしまう。あまりにも小学校と中学校の差が大きすぎるために、かえって対応できない生徒も出てきている。

 「今、教育の方針転換を堂々とやっておかないと、なおさら子どもたちにとって不幸なのではないかと思います。」

真の英語力を身につけるために

 中学高校で6年間英語を学んでも、残念ながらほとんどの人は話すことができない。日本の今の教育は読みと書きだけで、大学受験が終われば大半は英語が必要なくなってしまうからだ。これをどうやって変えていくか。そのための秘策が安倍首相に提言した「大学入試へのTOEFL導入」である。「これはショック療法なんですよ。せっかく大学に入るまでに英語を勉強するのなら、読み書きだけではなく、話せるようになったほうがいい。では、どうやってそこまでもっていくかというと、今の制度ではできません。だからまずはゴールを変えようと思ったのです。」

 ただ、ゴールに到達させるためは、ゴールまできちんと届けられる教師の養成も必要だ。最近では、英語教育を導入する小学校が増えているが、その大半が、ALT(外国語指導助手)と日本人の先生の両方で教えている。遠藤議員は、「これであれば、最初からALTだけでよいのでは?」と疑問を呈す。もちろん教える能力があることは前提だが、もともと英語ができない教員がALTと組んでも意味がなく、逆に英語ができる先生とALTが組むのももったいない。「ALTが一人で英語学習を担当したらどうでしょう。子供たちは多分3~4か月くらいは理解できないかもしれませんが、案外柔軟ですから、すぐに慣れると思います。」

失敗を恐れずチャレンジを!

 遠藤議員はアジア全体の教育の振興を図るため、1997年からミャンマーやタイなどにおいて、十分な教育の機会に恵まれない子どもたちのためにポケットマネーで「ともだち小学校」を建設している。

 しかし意外にも、大学時代はラグビーには打ちこんだものの、正直あまり勉強はしていなかったそうだ。

 「私は昭和44年入学で当時は学費闘争の真っただ中、入学式は9月でその後ずっと休講続き。1年間ほとんど授業らしい授業はありませんでした。4年生の時もレポート試験で卒業しました。ですから、あまり大きなことは言えませんが、ただ、大学全体として活力があったように思います。」

 母校である中央大学の学生たちに対しては、「日本をリードする大学の一つですから、今後もその気概で勉強していただきたい」と話す。その一方で、「少し堅実過ぎるところもありますから、失敗を恐れずに、失敗してももう一度チャレンジすればいいという気持ちで、がんばってほしい」とエールを送る。

 「私は現在63歳ですが、人生で9年間浪人しています。まずは大学に入るときに1年浪人して、それから選挙に2回落ちて8年間と、合わせて9年間です。でも、少々失敗したって、若いうちは何とかなるものです。学生諸君にも、夢をもって冒険し、失敗したらまたやり直す、そのバイタリティがほしいと思います。」

遠藤 利明(えんどう・としあき)さん
1950年生まれ。1973年中央大学法学部法律学科卒。山形県議会議員から衆議院議員に。当選6回。現在は予算委員会筆頭理事、自由民主党教育再生実行本部長・スポーツ立国調査会会長、アジアの子供たちに学校をつくる議員の会代表等を務める。