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なぜ台湾のMICE産業はこれほど急速に成長したのか?

アジア・太平洋地域におけるMICE施設への大規模投資が急増する中、台湾は国際的な注目を集めています。MICEとは、Meeting(会議)、Incentive Travel(報償・研修旅行)、Convention(国際会議)、Exhibition/Event(展示会・イベント)の頭字語をとった造語で、大規模な来場者動員と地域経済に広く波及する効果をもたらすビジネスイベントを指します。日本の経済産業省に相当する台湾経済部が20年前にMICE産業育成の国家プロジェクトを開始して以来、台湾のMICE産業は目覚ましい発展を見せています。今年で20周年を迎えるこの取り組みは、台北、桃園、台中、台南、高雄といった主要な都市を結ぶ「MICE回廊」の形成を促し、台湾の国際的地位向上に大きく寄与しました。

日本の企業や団体にとって、深い歴史的・文化的絆を共有するとともに、半導体などの産業で一層の協力関係を深めている台湾は、ビジネスイベントの開催地として魅力的な選択肢となっています。

MICE拠点をつなぐ高速輸送網

台湾の高速鉄道網は主要都市間の移動時間を劇的に短縮し、南北を縦断する大動脈として機能しています。台湾の先見性を体現する高速鉄道網は、ビジネスイベント参加者を台北から各地のコンベンション会場への効率的な移動を実現しています。

MICEは一般的な旅行と比べ、1人当たりの消費額が大きく、同一地域での宿泊期間も長くなる傾向にあり、需要の見通しが立てやすいことや、地域経済への波及効果が大きいなどの特長があります。さらにビジネスチャンスやイノベーションの創出、都市の競争力強化など、有形無形のメリットがあるとされます。

台北市内の中心地にある台北世界貿易センター

台湾がこうしたMICE産業の振興に本格的に力を入れ始めたのは20年前。初期の段階では、台北にある台北世界貿易センター(TWTC)と台北国際会議センター(TICC)を中心に展開していましたが、需要の拡大に伴い、2008年に台北南港展示館第1ホールをオープンし、翌2019年には第2ホールの運営も始めました。

2008年に開業した台北南港展示館第1ホール

台北に続き、高雄展示センター(2014年)、ICC台南会展中心(2022年)、桃園国際展示場(2024年)が相次いで稼働をはじめており、台中国際コンベンションセンターも完成間近です。

これらの施設は高速鉄道網によって相互に結ばれており、充実したMICE回廊を形成しています。

近年、台湾の半導体産業の世界市場のシェアは60%を超え、ICT、精密機械、スマートヘルスケアなどの産業においてもグローバルサプライチェーン上の重要な役割を果たすようになっています。こうした産業力を背景に「SEMICON Taiwan」や「COMPUTEX」といった国際的なMICEイベントが台湾各地で数多く開催されています。

2026年6月、初の台湾開催となるロータリー国際大会が台北で開かれ、約3万人以上のゲストが世界各国から訪れる予定です。TAITRAの王熙蒙代表兼CEOによれば、20年ほど前の台湾のMICE産業のアウトプットは約6800万米ドル(およそ100億円)でしたが、今日では20倍に拡大し、約16億3000万米ドル(およそ2400億円)にまで成長しています。

AMFの会場から望んだ台北都心のパノラマ。手前の低層の建物が松山文創園区。その奥が台北ドーム

都市再生と文化融合:台北「松山文創園区」

台湾はMICEインフラが充実するのみならず、日本人にとって親しみ深い新旧文化が融合した台湾の街並みや、台湾の人々の温かなもてなしも台湾を訪れる人々を惹きつける大きな魅力となっています。その象徴ともいえるのが、9月19日に開催された「アジアン・マイス・フォーラム(AMF)」の会場となった台北市の松山文創園区です。日本統治時代に建てられた台湾初のたばこ製造工場の跡地をリノベーションしたクリエイティブスポットで、敷地内には日本人建築家、伊東豊雄氏設計による松山文創ビルがあり、誠品生活やホテルなどが入っています。

AMFは商業施設やホテルなどが入る松山文創ビルの最上階で開催された

AMFは台湾経済部国際貿易署(TITA)主催のもと、台湾貿易センター(TAITRA)が実施するMICEイベントで、同ビルの最上階となる14階にある600人収容のホールで行われました。ホールに隣接し、オープンスペースになっている屋上からは、松山文創園区と2023年に完成したばかりの台湾ドーム、さらには台湾でも最も高層な建築物である台北101を望むことができ、新旧の文化が融合した台湾らしい風景を体感することができます。

関係者が列席してAMFの20周年を祝った

TITAが主催し、TAITRAが運営するAMFは、グローバルなビジネスイベントコミュニティにとって主要な国際対話プラットフォームとして機能しています。今回、20周年を迎えたAMFには、初開催以来、世界各地から8000人以上の専門家と200人以上の講演者が参加。今年は「Beyond 20: Embracing Tomorrow(20を超えて:明日を迎え入れる)」をテーマに、過去の成果を祝うだけでなく、グローバルな MICE コミュニティにおける台湾のリーダーシップの可能性についても話し合われました。また、「20周年」という節目を記念してMICE産業の振興プロジェクト「MEET TAIWAN」のロゴもブルーを基調としたシャープなデザインに刷新されました。

AMF20周年を機に制定された「MEET TAIWAN」の新しいロゴを披露する台湾経済部国際貿易署胡副署長(左)とTAITRAの王熙蒙代表兼CEO

AMFの冒頭、台湾経済部国際貿易署胡副署長は「今後20年に向け、私たちは展示会やコンベンションをプラットフォームとして活用し、DXを推進し、持続可能性を追求しながら、セクターを超えた連携を育んでいきます」とあいさつ。さらに「MICE経済」を2026年の重要な内需拡大策として位置づけ、世界各地から訪れたビジネス客がイベントへの参加のほか、都市の探索やユニークな文化体験などに1枚で対応可能な「MICE観光イージーカード」の導入を計画していることも明らかにしました。

参加者らによる活発な議論が交わされたAMF

冒頭の挨拶に続いて、2020年、米TIME誌の「Kid of the Year」を受賞したイノベーター、ギタンジャリ・ラオさんが基調講演を行いました。その後、「瞬間をデザインし、確信を推進する」「未来を展示する」「会場から価値へ」と題したパネルディスカッションが開催され、MICEの実務家などを招き、。会場に集まった約300人の聴衆はMICE産業がもたらす有意義な可能性について熱心に聞き入っていました。

台湾と日本:近接する距離、共有する価値観

台湾の経済・MICE分野における国際的な存在感が高まる中、日本との連携はますます有望な展開を見せています。

地理的に近く、数多くの航空便で結ばれているため、会議の開催や展示会への参加において非常に利便性が高い環境と言えます。また、優れた交通インフラや、日本人の嗜好に合った食文化、そして細やかなおもてなしの姿勢は、MICEイベントを計画する日本企業にとって魅力的な開催地となります。

今年のAMFにおいて、TAITRAの王熙蒙代表兼CEOは、「ビジネス産業の真の価値は、人と人との繋がりから生まれる物語にあります。あらゆる出会いは無限の可能性の種であり、あらゆる展示会は共に育む庭園なのです」と述べました。

成熟した北部の施設から、活気ある新興拠点である中部・南部地域に至るまで蒔かれた革新の種は今なお育ち続け、日本をはじめとする国際パートナーとの新たな連携可能性を開くものとなっています。

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