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「力を覚ます!成分のヒミツ」タウリン編

仕事を頑張りたいとき、スポーツのパフォーマンスを上げたいとき――。ヒトが持っている力を呼び起こす成分として、何を思い浮かべますか。
ビタミンやミネラルなど、普段の生活の中でもよく見聞きする成分とは違い、馴染みは薄いながらも「力を覚ます」成分について、大正製薬の研究者に成分の効果から、発見の背景、将来的な可能性まで幅広く紹介してもらいます。

脳、心臓、筋肉、骨――
あらゆる身体の“エネルギー産生”の鍵となるタウリンとは

前編は「タウリン」。細胞の働きを支えるエネルギーをつくっている「ミトコンドリア」の働きを活発にする成分で、疲労回復などの効果があります。抗疲労研究を専門とする大正製薬の研究本部セルフメディケーション開発薬理研究室の森戸暁久室長にタウリンについて聞きました。

大正製薬の総合研究所
大正製薬の総合研究所

疲労が回復するヒミツはタンパク質にならない「自由さ」

ヒトの体は、多くの細胞からできています。脳、心臓、筋肉も、小さな細胞一つひとつの働きに支えられています。細胞の活動に必要なエネルギーを生み出す細胞内の小器官「ミトコンドリア」の働きをサポートするのが、タウリンです。
タウリンを摂取していると脂質の代謝が高まるため、ミトコンドリアの働きが活性化し、一つひとつの細胞を動かすエネルギー「アデノシン3リン酸(ATP)」が生成されやすくなります。細胞の働きが活発になることで、疲労の回復を促進します。脳や心臓、肝臓などのミトコンドリアの多いところほど、タウリンの摂取によって働きがサポートされやすいです。

ミトコンドリアのエナジー産生のイメージ
ミトコンドリアのエナジー産生のイメージ

タウリンはアミノ酸の一種ですが、タンパク質になるグリシンやロイシンといった一般的なアミノ酸20種とは異なり、他のアミノ酸と結合しない「フリー体」として存在するため、タンパク質に構成されることなく、細胞の活性化を支えるミトコンドリアの働きをサポートします。タウリンはあらゆる臓器に存在し、体重の約0.1%、体重60kgの人では、約60gが体内に存在します。全身のタウリンの約70%が筋肉に存在するといわれていますが、他に脳や心臓、目、肝臓といった、常に活発に働き、大量のエネルギーを消費する臓器に多く存在しています。

「タウリンはアミノ酸の中でも他の成分と結合しない性質のため、細胞を移動して体内の水分を調整します」と成分特徴を説明する森戸暁久室長
「タウリンはアミノ酸の中でも他の成分と結合しない性質のため、細胞を移動して体内の水分を調整します」と成分特徴を説明する森戸暁久室長

タウリンを豊富に含む食材とは

タウリンはもともと、カキやサザエなどの貝類や、イカ、タコ、魚の血合いなどに多く含まれる成分です。タウリンはタウリントランスポーターを介して移動しながら、細胞内外の水分のバランスを保つ浸透圧を調整する役割も担っています。運動などで汗をかいたときにのどが渇くのは、血液のナトリウム濃度が高まっているからです。タウリンは、このような浸透圧のバランスが崩れた状態から元の状態に戻るのを助け、体の状態を維持します。
お酒を飲んだ後に「シジミ汁」がよいと言われることがありますが、これはタウリンを多く含むシジミは、肝細胞の再生を促し、肝臓の解毒作用や代謝機能を高める可能性があるからです。肝臓が活発に働くことで、体内の老廃物や有害物質の排出がスムーズになり、結果として疲労回復につながることが期待されます。

***ヒストリー***

かつてタウリンを抽出していたのは海の“あの”生き物
タウリンはドイツの科学者が1827年に牛の胆汁から見つけたとされています。タウリンという呼び名は、ギリシャ語で牛を意味する「タウロス」に由来します。大正製薬では、1940年代から検討を始め、1960年代から様々な生理作用に着目し、本格的な薬理研究を開始してきました。
当初は、タウリンを豊富に含むタコやイカといった海洋生物に着目し、実際にタコを煮出してエキスを抽出するという方法も実践されていました。
現在は、衛生面や純度の高さ、さらには臭みをなくすため、大正製薬と三井化学の合弁会社「大正MTC」で高純度タウリンを生産しています。国内唯一のタウリンメーカーです。

左)製造したタウリンの荷造り工程 右)大正エム・ティ・シー タウリン製造プラント外観
左)製造したタウリンの荷造り工程 右)大正エム・ティ・シー タウリン製造プラント外観

***ヒストリー***

食事からとれるタウリンは100~200㎎程度。300㎎以上で筋力維持も

タウリンは、体内でも生成されますが、食事などからの経口摂取がほとんどです。しかし、食事から摂取できるタウリンの量は、多くても一日せいぜい100~200mg程度と言われています。最近では、日本人の魚介類の摂取減少に伴い、タウリンの摂取はさらに減少しているかもしれません。
日本人の中高年者の健康データから健康維持に重要な成分タウリンの食事からの摂取量の年次推移を推定したところ、食事からの摂取量は8年(2002-2004年調査時~2010-2012年調査時)で約2割減少していました。

大正製薬ニュースリリース「日本人のタウリン摂取量の年次推移を初めて推定」

どの程度の摂取量が適切かというのは明確ではありませんが、高齢者を対象にした調査で300㎎以上を摂取していると筋力の維持につながったという結果も得られています。また水溶性の成分のため、仮に摂取しすぎたとしても体外に排出されるので心配はありません。もっとも、排出されるということは蓄積もできないので、食事などを通じて日常的に摂取することを心がけることが大切になります。
海外ではエナジードリンクに配合していることも多いですが、日本ではタウリンが医薬品成分となっているため、日本で販売されているエナジードリンクには配合されていません。

タウリンは疲労回復のほかにも、アンチエイジングや免疫向上への寄与が世界的にも注目されている
タウリンは疲労回復のほかにも、アンチエイジングや免疫向上への寄与が世界的にも注目されている

期待されるアンチエイジング作用やインフルエンザなどへの免疫向上

近年の研究で、タウリンがアンチエイジング(抗老化)や免疫向上の効果を発揮することがわかってきました。
世界的に有名な科学雑誌サイエンス誌で2023年に、タウリンの抗老化作用に関する論文が掲載されました。マウスへのタウリンの投与によって、寿命が10-12%延長したとされています。
さらにマウスあるいはサルを用いた研究では、
 ▽筋力増強
 ▽骨密度の増加
 ▽記憶力の向上
 ▽血糖値低下
など様々な健康指標に効果を発揮することが示されました。
タウリンのアンチエイジング作用に関するメカニズムは多岐にわたると考えられますが、細胞にダメージを与える酸化ストレスや炎症反応に対して、保護的に作用することが考えられています。
そのため、免疫機能への寄与も期待されます。
COVID-19やインフルエンザウイルス患者において、タウリンの血中濃度が低下することに着目し、カナダで症状が長引くロングCOVID患者に対してタウリンの有効性を評価する臨床研究がスタートしています。

タウリンの免疫向上へ作用イメージ

基礎研究においても、タウリンによる免疫細胞の機能向上が確認されています。大正製薬でも細胞試験において、免疫細胞(マクロファージ)が受けたダメージを軽減する作用を確認しています。

大正製薬ニュースリリース「タウリンは炎症に伴う免疫細胞へのダメージを軽減する」

タウリンがウイルス感染に伴う炎症や長引く疲労を抑えることが期待されます。

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毛根の潜在力に直接働きかけるミノキシジル編もご覧ください。