前左から時計回りで細見知オーナー、深串圭オーナー、長男・徹 取締役、久米オーナーを公私両面で支える妻・範子さん
創業から今年で55年を迎える日本マクドナルド株式会社(以下、日本マクドナルド)。その事業の特徴は、地域に根差したフランチャイズビジネスにあり、国内の約3000店舗のうち、約78%(2026年6月時点)がフランチャイズ法人によって運営されている。日本マクドナルド本部が事業の仕組みやマーケティング戦略を描き、それを地域の暮らしやお客様をよく知るオーナーが、各々のコミュニティの中で形にしていくことで、全国どこでも変わらないマクドナルドらしさと、その街ならではの温かさが生まれる。
マクドナルドの地域に寄り添った取り組みをシリーズで紹介してきた「地域とともに歩む、3つのストーリー」。最終回となる第3回は、大阪府大阪市南部・堺市北部などで15店舗を運営するフランチャイズのオーナーオペレーターである久米利雄氏(有限会社サクセスフーズ)と、関西から沖縄までの西日本エリアを統括する日本マクドナルド 執行役員西日本地区本部長の記田信一氏に、マクドナルドが大切にしてきた「Family」という価値観と、地域との信頼を未来へつなぐ「次世代への継承」について話を聞いた。
仲間として力を合わせ、ともに成長する
「Family」という、日本マクドナルドが大切にする価値観がある。シリーズ第1回、第2回で紹介したように、日本マクドナルドは、本部とフランチャイズオーナーの対等なパートナーシップを土台に、クルー(従業員)や地域の人々とのつながりを育みながら、各地域で愛される店舗づくりを進めている。「Family」は、こうしたマクドナルドに関わるすべての人を「マクドナルドファミリー」と捉えて、ともに力を合わせて成長していくという考え方だ。記田本部長は「マクドナルドブランドを支える仲間が、ともに成長し、同じ目標に向かって互いに助け合う。そうして困難を乗り越えていくことで、大きな力を発揮できるのです」と語る。
久米オーナーは、フランチャイズオーナーとして29年のキャリアを持つ。「これまでに苦しい時期がありましたが、地域の方々の支えや、本部の支援のおかげで業績を立て直すことができました。本当にありがたかったですね」と語る。記田本部長は「オーナーがマクドナルドの目指す方向性を信じて、率先して実践してくださったことで、困難な状況を乗り越え、ブランドとして次の一歩を踏み出す力につながりました。一方的な支援ではなく、信頼関係のもと、一緒に難局を乗り越えてきたと考えています」と応じる。
継続が信頼を生み、街に愛される店舗に
地域活動にも「Family」の価値観が息づいている。記田本部長は「マクドナルドは『おいしさと笑顔を地域の皆様に』という存在意義を掲げています。目指すのは、おいしい食事を通じて皆様を笑顔にすること、愛される店舗として雇用の場を生み、地域の発展に貢献することです」と語る。
久米オーナーもまた「地域への恩返しの思いで事業を行ってきました」と応じる。子ども会の活動支援、堺市スポーツ少年団中央大会というスポーツイベントの協賛など活動は多岐にわたるが、「一度始めたらずっと続けることが大切です。その積み重ねが信頼につながっていくのだと思います」とその信条を語る。
久米オーナーがフランチャイズオーナーになって最初の店舗で、ある高校生をクルーとして採用した。卒業後、その元クルーは成人式や就職などの節目に店舗を訪れ、結婚して子どもが生まれると、家族で店舗を利用するようになった。今、高校生に成長したその子どもがクルーとして店舗で働いている。世代を超えたこのつながりは、久米オーナーと店舗が街に愛され、信頼されていることを物語るエピソードだろう。
地域に愛される店舗を、次の世代へ
Familyには、本当の「家族」の支え合いもある。久米オーナーの妻・範子さんは、「おもてなしリーダー」として店舗で活躍するが、久米オーナーは「苦しい時も普通に接してくれた」と家庭内での精神的な支えの大きさも強調する。長男・徹氏もオーナーの資格を有し、久米オーナーとともに店舗運営に携わりながら、将来の事業承継に向けて歩みを進めている。
マクドナルドでは、フランチャイズオーナーが子世代に継承されるケースは珍しくない。記田本部長は「マクドナルドブランドが長く続いていくためにとても重要なこと。約30年間、久米オーナーが築いてきた地域との信頼関係が途切れず未来に続くことは、さらなるブランドの成長につながると考えています」と語る。
久米オーナーは徹氏のほかに、2人のフランチャイズオーナーを輩出した。後進の育成で重視するのは「まずマクドナルド、地域を愛していること」とした上で、「現場での対応」をあげる。「店舗運営にはクルーとのコミュニケーションが欠かせませんし、お客様とも会話して気持ちを通わせることが大切です」。
「現場主義」は久米オーナーのモットーだ。今でも新商品発売日などには店舗に入り、自らオペレーションを確認しながら、マネージャーやクルーの声に耳を傾ける。その一つひとつの積み重ねが、高いQSC(品質・サービス・清潔さ)を支えている。
日本で最も愛されるレストランブランドであり続ける
マクドナルドが2年に1度、世界中のわずか1%の優れた業績をあげたフランチャイズオーナーを表彰するゴールデン・アーチ・アワード。シリーズ第1回、第2回に登場したフランチャイズオーナーと同様、久米オーナーも2026年に受賞した。「ずっと目標にしてきた名誉ある賞なので評価していただいてすごくうれしい」と久米オーナーは感想を述べる。記田本部長は「マクドナルドの目指す方向性を信じ、率先して実践し続けてこられた結果、高いQSCを維持し、地域に愛される店舗づくりを実現されてきたことが、今回の受賞につながったのだと思います。ご子息含め、次世代のオーナーを3人輩出された点も理想的なロールモデルです」とたたえる。
今後について、久米オーナーは「店舗数を拡大し発展させてほしい」と後継者に期待を寄せる。バトンを受け継ぐ徹氏は「地域の方々や社員、クルー、そして本部からも信頼していただけるようなフランチャイズオーナーになって、父が積み上げてきたものをさらに伸ばしていきたい」と意気込みを語る。
記田本部長は「日本マクドナルドは、今年フランチャイズ1号店の開店から50年の節目を迎えます。第一世代のフランチャイズオーナーの代替わりの時期でもあり、次世代への継承をスムーズに行うことは、マクドナルドがこの先も成長していくために重要です。これからもオーナーの皆様とともに、地域に根差した店舗づくりを通じて、日本で最も愛されるレストランブランドであり続けたい」と力を込めた。