FOREARTHで繊維・アパレル業界の課題に向き合う 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 KYOCERA Document Solutions Inc

革新のテクノロジーが描くアパレルの未来

 繊維・アパレル業界の環境負荷を低減し、地球との共生を目指す京セラドキュメントソリューションズ株式会社の捺染(なっせん)*インクジェットプリンター「FOREARTH(フォレアス)」の革新的な挑戦が注目を集めている。支えるのは京セラが磨き上げてきたテクノロジー。水の使用量を極限まで削減しながら高精細で鮮やかな発色を実現。7月19日から京都国立近代美術館で開催される「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ(主催 京都国立近代美術館、読売新聞社)」展にも協賛し、会場を装飾するプリント生地が彩りを添える。「FOREARTH」が生み出す繊維・アパレル業界の新たな価値創造とは。CIPS事業部副部長の谷口昌氏に聞いた。

※捺染(なっせん):布地に模様を印刷すること

「地球のために」 水使用量を極限まで削減

 一見華やかな繊維・アパレル業界だが、布の染色時にスチームや洗浄などの工程で大量の水を必要とし、その排水による水質汚染は世界的問題になっており、在庫過多による大量廃棄問題も抱える。この長年の課題解決のために真正面からアプローチしたのが「FOREARTH」だ。

 もともと技術力に定評のある京セラだ。世界トップシェアを誇る「インクジェットヘッド」や「インク」「ハード、コントローラーなどの機器開発」など、グループ内の各事業部に分散している精鋭たちを、部門横断型で集めて、技術を掛け合わせていく。この開発体制が大きな推進力となり、ブレイクスルーにつなげていった。

 最大の特長は、水の使用量を極限にまで削減した「WATER FREE(ウォーターフリー)」というコンセプトの実現だ。従来の染料捺染では、製版から捺染、版洗浄までの8工程のうち、多くの水を使用する捺染、スチーム、洗浄、版洗浄までの4工程で、生地1kgあたり153Lもの大量の水を必要とした。一方、「FOREARTH」は、プリントと乾燥のみの2工程で完了する。この間の工程での水の使用量はゼロ。唯一、機器のメンテナンス時に使用する洗浄水も再利用する「循環ベルト洗浄システム」の採用で、必要とする水は、生地1kgあたりわずか0.02Lと、従来から99%*の削減が実現した。

※ 京セラドキュメントソリューションズ調べ(2022年)

※1 Kujanpää , M. & Nors , M. (2014). Environmental performance of future digital textile printing.
VTT Technical Research Centre of Finland.VTT Customer Report Vol. VTT CR 04462 14
※2 京セラドキュメントソリューションズ調べ(2022年)

国内外の著名なデザイナーが賞賛 クリエイティブな表現力

 「多彩な表現を、さまざまな生地へ」という「CREATIVE FREE(クリエイティブフリー)」というコンセプトを実現した。レディース向けには生地の自然な柔らかさや風合いが求められるが、水の使用量が少なく環境面で優れている「顔料インク」は、柔らかさや風合いへの影響に加えて、インクの剥がれにくさ(堅牢性)や発色に課題があり、アパレル業界から敬遠されていた。

 京セラは、この課題に挑戦し、独自開発の水系顔料インクと前後処理液を交互に吐出する技術等、多くの特許を含む開発により、課題解決を実現した。谷口氏は「絹、綿、ポリエステルなど生地の種類を問わず、生地本来の柔らかさを生かしながら堅牢性を確保し、優れた色再現性と繊細な表現が可能になった。相反する課題を克服し、表現の自由度が大きく広がった」と手応えを語る。

 ファッションの集積地、ヨーロッパをターゲットに定め、世界初のお披露目の場に選んだのは、2023年イタリア・ミラノで開催された世界最大級の国際繊維機械展「ITMA2023」だった。2025年4月には、ミラノに実機を設置する「FOREARTHエクスペリエンススタジオ」も開設。質の高さをその場で感じてもらう環境が整い、高い感性を持つデザイナーらからも共感と称賛の声が上がる。世界で活躍する著名なデザイナーとのコラボレーションにより、パリコレクション、ミラノコレクション、東京ファッションウィークのランウェイにも採用されるなど、その実績は広がりを見せる。

「環境にやさしく」 デジタルで貢献

 プリントから乾燥までの全工程が1台で完結する省スペースデザインの「FOREARTH」は「LOCATION FREE(ロケーションフリー)」も実現する。従来の染料捺染では水を大量に使うため、染工場は水辺の近くに作られ、繊維産業のサプライチェーンがグローバルに分散している現状に対し、「FOREARTH」では、水資源の制約を受けず、販売地・消費地の近くに設置できるという利点がある。谷口氏は「物流コストの削減、ひいてはCO₂削減にもつながる。さらに、デザインからプリント、縫製、製品までの納期が大幅に短縮され、必要な時に必要な量だけのプリントが可能となる。余剰生産が削減できれば、大量廃棄問題の解決への大きなアプローチにつながる」と解説する。

 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」展では、「FOREARTH」でプリントされた生地が会場装飾として使用される。「細かい線を再現し着物の文様を描くのは「FOREARTH」が得意とするところ。デジタル技術を使い、日本文化の継承・発展に向けたメッセージを込めたい」と新しい挑戦にも意欲を見せる。「FOREARTH」は製品もインクもメイド・イン・ジャパン。日本発の革新のソリューションが、アパレル業界の未来を拓く。

「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」展 概要

 〝 Wearable Art 〟(着るアート)とも称される「きもの」の美に迫る展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」が、7月15日から9月15日まで、京都市の京都国立近代美術館で開催される。

 江戸時代から現代まで、平面の美と立体の美を内包する「きもの」の多種多様なデザインが生み出されてきた背景と制作者たちの創意―きもののヒミツを紹介。重要文化財に新指定の「大津唐崎図」「梅図」も公開される。

  • 会期 | 2025年7月19日(土)~9月15日(月・祝)
  • 会場 | 京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
  • 休館日 | 月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日
  • 主催 | 京都国立近代美術館、読売新聞社
  • 特別協力 | 千總ホールディングス、千總文化研究所
  • 協賛 | 岩谷産業、京セラドキュメントソリューションズ、きんでん、清水建設、非破壊検査

「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」展 
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