広告企画・制作 読売新聞社イノベーション本部

タイアップ TIE-IN

地域を支える中堅・中小企業のチカラ③
supported by あんしん財団

伝統を守るために、挑戦を止めない――高岡銅器の技を未来へつなぐ、能作千春社長の経営

あんしん財団が送る「地域を支える中堅・中小企業のチカラ」シリーズ。
独自の技術やサービスで社会を支える中小企業を紹介します。経営者の思いや挑戦、地域への貢献を通じて、中小企業が持つ可能性を伝えます。
第3弾では1916年創業の鋳物メーカーで、伝統的な高岡銅器の技術を活かした錫製品を製造する能作の能作千春社長にお話を聞きました。

株式会社能作 代表取締役社長 能作千春氏
株式会社能作 代表取締役社長 能作千春氏

プロフィール
1986年、富山県生まれ。2008年3月に神戸学院大学人文学部人間心理学科を卒業し、神戸市内のアパレル関連会社で通販誌の編集に携わる。
2011年、家業である株式会社能作に入社。現場の知識を身に付けるとともに受注業務にあたる。製造部物流課長などを経て、2017年の新社屋移転を機に産業観光部長として新規事業を立ち上げる。2018年、専務取締役に就任。能作の“顔”として会社のPR活動に取り組む。2019年、「錫婚式」ブライダル事業を立ち上げる。
2023年、代表取締役社長に就任。2024年、世界初となる錫ジュエリーブランド「NS by NOUSAKU」の展開を開始。

富山県高岡市で400年以上受け継がれてきた伝統産業「高岡銅器」。その技術を土台に、錫(すず)のテーブルウェアやインテリア製品を生み出し、国内外で支持を集めているのが能作です。1916年の創業以来、仏具や茶道具などを製造してきた能作は、時代とともに変化する市場ニーズを捉え、自社ブランドや錫製品、産業観光、医療機器部品、ジュエリーなど、新たな分野へ挑戦を重ねてきました。2023年に社長へ就任した能作千春さんは、2人の子どもを育てながら、2017年にオープンした新社屋の計画や新規事業を牽引してきました。
「伝統を守るためには、新しい挑戦をしなければならない」と語る能作社長の、ものづくりや事業承継への思いとは。

仏具や茶道具の技術を、暮らしの中へ

――能作はどのような会社ですか。

1916年に創業し、2026年で110年を迎えました。高岡銅器の伝統を受け継ぎ、職人が一つ一つ手作業でものづくりをするメーカーです。もともとは仏具や茶道具、華道具を中心に製造してきました。日本の伝統文化を支える製品ですから、今後も大切に守っていきたいと考えています。

一方、日本人のライフスタイルが変わり、仏具や茶道具の需要は次第に少なくなりました。そこで父である現会長の能作克治が、伝統技術を生かしながら、より日常の暮らしに寄り添う製品を作ろうと考え、2002年に自社ブランド「能作」を立ち上げました。

最初に作ったのは真鍮製のベルです。ただ、ベルのままでは使う場面が少なく、なかなか売れませんでした。販売店の方から「風鈴にしたらいいのでは」と助言をいただき、風鈴として販売したところ、売り上げが大きく伸びました。この経験から、お客様や売り場に立つ方々の声の中に、商品開発のヒントがあると学びました。その姿勢は現在の能作にも受け継がれています。

錫の弱点を価値に変える

――能作を代表する錫製品は、どのように誕生したのでしょうか。

取引先から「どの家庭にも複数ある食器を作れないか」と声をかけていただいたことが始まりです。当時、能作が主に扱っていた真鍮は銅を含むため、食器として商品化するには食品衛生上のハードルがありました。そこで父が様々な文献を調べる中で、古くから銅製の鍋などに「錫引き」という加工が施されていたことを知り、「それなら錫そのものを使って食器を作れないか」と考えたのです。

ただ、錫は非常に柔らかく、一般的にはほかの金属を混ぜて強度を持たせます。純度の高い錫は加工も難しく、その柔らかさを生かした食器を作ろうとする会社はほとんどありませんでした。

能作の代表作のひとつ「KAGO」。形を変えられることが魅力だ
能作の代表作のひとつ「KAGO」。形を変えられることが魅力だ

しかし、能作は鋳造をなりわいとしてきた会社です。技術を高め、完成品に近い形で鋳込(いこ)むことができれば、純度の高い錫でも製品化できるのではないかと考えました。そうして生まれたのが、手で曲げて形を変えられる器です。「柔らかい」という、通常は弱点とされる素材の特徴を使う人が楽しめる価値に変えました。

錫には、酒の味をまろやかにすると古くからいわれているほか、さびにくく、抗菌性が高いという特徴もあります。その特性を生かし、現在は食器やインテリアだけでなく、錫の曲がる特性を生かした医療機器部品の製造にも取り組んでいます。

新社屋で、ものづくりの背景を伝える

――工場見学や体験にも力を入れられています。

父は1990年頃から工場見学を積極的に受け入れてきました。高岡で400年以上続く産業を地域の子どもたちが誇れなければ、次の担い手は生まれないと考えたからです。製品だけでなく、職人の技やものづくりの背景を伝えることを大切にし、多くの方を工場に招き入れ、案内してきました。

その思いをさらに発展させたのが、2017年にオープンした現在の社屋です。工場見学に加え、鋳物製作を体験できる工房、製品を使った料理を提供するカフェ、ショップなどを備えました。

私は以前、アパレル通販誌の編集に携わっていました。編集とは、さまざまな情報をつなぎ合わせ、価値を分かりやすく見せる仕事だと思っています。その経験を生かし、ものづくりの現場だけでなく、富山県や高岡市の魅力も伝えられる場所を目指しました。

現在では、子どもの頃に工場見学へ来た方が成長し、能作に入社するケースも生まれています。伝え続けてきたことが、産業の担い手を育てることにつながっています。

職人が一つ一つ手作業で加工をしている(富山県高岡市の本社で)
職人が一つ一つ手作業で加工をしている(富山県高岡市の本社で)

子育てを通して見つけた自分の役割

――当初から家業を継ごうと考えていたのでしょうか。

いいえ。父の働く姿は尊敬していましたが、当初は神戸で編集の仕事でキャリアを積むことを目指していました。転機となったのは、職場の先輩が能作の錫製品を「おしゃれだ」と紹介してくれたことです。神戸のセレクトショップの店頭に「富山県高岡市」と書かれた商品が並んでいるのを見て、故郷を誇らしく感じました。

周囲の人に製品を紹介すると、多くの人が「欲しい」と言ってくれました。編集長からも「あなたはもう心のどこかで能作の一員になりたいと思っているのでないか」と背中を押され、2011年に編集の仕事を辞め、能作に入社しました。

入社後は棚卸しや受発注の仕組みを整え、店舗の出店や情報発信など、父や職人を支える仕事に取り組みました。当時の能作は、もの作りに特化した中小企業そのもので、パソコンで在庫を管理するなど、効率化に向けて変えられることがたくさんありました。

その後、結婚と出産を経験し、一度は家庭に入ろうと考えました。二人の子どもを育てる中で、約3年間は母親としての生活を優先しました。

再び仕事へ向き合うきっかけとなったのが、新社屋の移転計画です。父から「千春の力が必要だ」と言われ、子どもを保育園に預け、産業観光の立ち上げに取り組みました。その経験を通して、ゼロから新しいものを生み出すことや、人や情報をつなぐことが、自分の役割だと分かりました。

ジュエリーやM&A、伝統を守るため

――社長就任後も、新たな事業に挑戦されていますね。

父が築いた土台を大きく変える必要はありません。その土台に新しい価値を加え、従業員のアイデアを形にすることが私の役割です。

能作が手掛けるジュエリーシリーズ。錫を身に着けることができる
能作が手掛けるジュエリーシリーズ。錫を身に着けることができる

代表的な挑戦の一つが、錫を使ったジュエリーです。能作では、結婚10周年を祝う「錫婚式」の事業を2019年から行っています。私自身が結婚10周年を迎えた際、従業員がサプライズで式を企画し、職人が錫の指輪を作ってくれました。

そのときに感じた幸福感や、錫のしなやかな質感を、より多くの方に届けたいと思いました。店舗でも「身に着けられる能作の製品はないか」という声を多くいただいていたため、ジュエリー事業に踏み出しました。

錫は柔らかいため、毎日身に着けるジュエリーにするには強度の課題があります。そこで金を配合し、錫ならではのしなやかさを残しながら、耐久性と価値を高めた新素材「Tin Gold」を独自開発しました。ジュエリー製造会社のM&Aにも挑戦し、グループとして新たな技術を取り込んでいます。

産業観光や錫婚式、ジュエリー、医療・ヘルスケア、海外展開。一見すると異なる事業に見えますが、根底にあるのはすべて同じです。高岡で受け継がれてきた技術を守り、その価値を新しい方法で伝えることです。

能作を世界で認知される伝統工芸ブランドへ育て、地元に新しい雇用を生み出す。そして、地域の子どもたちがものづくりを誇りに思い、自ら担い手になりたいと感じられる未来をつくりたいと思っています。


「目覚めよJAPANフォーラム」開催決定!

 
 

9月18日(金)よみうり大手町ホールにて「目覚めよJAPANフォーラム」開催決定!
SESSION2「地域の中堅・中小企業のリアル~人的資本経営と成長戦略を問う~」では地域経済を牽引する注目の中堅・中小企業の現役経営者らが登壇します。
総合建設会社「小田島組」、包装資材メーカー「サクラパックス」、鋳物メーカー「能作」――。
労働力不足やリスク管理、事業承継といった直面する多様な経営課題をどう解決しているのか。三者三様の視点で紐解き、強みである技術力をさらに磨き、地域経済を活性化させるための取り組みや成長戦略を探ります。

※参加募集は締め切りました。10月下旬に本サイトにレポートを掲載予定です。

SESSION2登壇ゲスト現役経営者へのインタビュー

地域に根ざし、社会の困りごとに応える――サクラパックスが大切にする「顧客本位」と「利他の心」

「地方だから」を、挑戦しない理由にしない――小田島組が切り拓く建設業の未来

中堅・中小企業を支えるあんしん財団

中堅・中小企業が、新しい挑戦を重ねていることは、日本の未来を支える大きな力です。そうした企業の歩みを足元から支えているのが、あんしん財団です。
あんしん財団は、中小企業の健全な発展と福祉の増進に寄与することを目的にケガの補償、福利厚生サービス、災害防止サービスの3つの事業を提供しています。
人を守ることは、企業を強くすること。
独自の技術やサービス、発想で新たな価値を生み出す中堅・中小企業を支える存在として、技術革新への活力と日本の経済基盤を守り続けています。

あんしん財団について詳しくはこちら