賃貸派?それとも持ち家派?
住まいは賃貸が良いのか?持ち家が良いのか?
これからパートナーとの新しい生活を始めるにあたって、誰もが思い悩むテーマの1つです。
特に住まいは、生活の拠点となる大切な場所であるとともに、人生で一番高い買い物とも言われることで、なかなか決断に踏み切りにくい方も多いのかもしれません。
今回は、そんな方に向けて、賃貸を選ぶか持ち家を選ぶかの参考になるお話をしたいと思います。
賃貸と持ち家、どっちがお得なの?
私がご相談をお受けする中で、聞かれることの多いテーマの1つです。地域などによる違いもあるので一概に言い切れない部分があるのですが、私なりの結論を最初にお伝えすると、「賃貸と持ち家、支出面での損得では大きな差は生まれない」と考えています。
具体例をあげてお伝えします。私が事務所を設けている横浜市中区で、2026年5月に売り出されているマンションで考えてみました。
JR根岸線関内駅徒歩2分。66平方メートルで3LDK、築15年の部屋です。このお部屋の賃料相場を調べるとおおよそ240,000円となっています。
一方、購入の場合ですが、6,780万円で販売されています。このお部屋を全額住宅ローンで借り、固定金利3%で期間は35年で借りたとします。
この場合、毎月の返済額は260,928円となり、賃貸との差額は約20,000円です。
購入の場合は、管理費と修繕積立金の支払いがあり、この部屋の場合は24,440円なので、賃貸との差額は、月額で約45,000円購入の方が上回ることになります。
1年で54万円、35年で比べると1,890万円、持ち家の方が支出の総額は上回ります。
ここで考えて頂きたいのが、35年後の資産価値です。賃貸の場合は掛け捨てなので、払いっぱなしで終わりますが、持ち家の場合は、資産として残ります。
35年後の築50年の時、例えば施設へ移り住むなどで、売却することを想定してみて下さい。
いくらで売れると思いますか?
将来のことは分からないので、断定的な判断はできませんが、今6,780万円のお部屋が、35年後の築50年で、駅徒歩2分という立地も加味すると、先ほど伝えた差額である1,890万円を下回る可能性は低いのではないかと私は考えます。
この将来の資産価値まで勘案して考えた時に、賃貸と持ち家、トータルでの損得に、大きな開きはなくなるのではないか、と私は考えています。
また、今回の例では、高めの固定金利で想定しましたが、固定金利よりは低い変動金利で借りることを考えると、支払う差額が小さくなる点も申し添えておきます。
初期費用の面から、賃貸と持ち家を考えてみます。
次に、住み始める時にかかるお金の面から見てみます。賃貸の場合は、条件によりますが、仮に敷金1か月、礼金1か月だった場合、賃料が先ほど例で上げた240,000円だとした場合、仲介手数料、火災保険、引っ越し費用なども含めて、おおよそ100万円~120万円になることが想定されます。
一方持ち家の場合、中古物件だと仲介手数料や火災保険、ローン手数料など含めて、おおよそ物件価格の7~8%くらいかかるのが目安です。先ほど例にあげた6,780万円の部屋で考えると、470万円~540万円くらいかかることが見込まれます。住まい選びを考える際は、毎月の賃料とローンの返済の比較だけでなく、初期費用でも違いが出てくることは忘れずに、資金計画を考えることが大切です。
まとめ
今回はこれからパートナーと住まい探しをする上で、賃貸か持ち家か、どちらを選ぶかのポイントとして、「支払う金額の総額での損得面」と「初期費用の差額」という点からお伝えしました。このコラムでは、金銭的な面だけからお伝えしましたが、実際は、転勤などで引っ越しをする可能性の有無、所有していることで、自分たちらしい過ごし方ができる住まいに対しての自由度や安心感など、何を重視して住まいを考えるかという、金銭的な面だけでははかれない要素も踏まえることが不可欠になってきます。
金銭的な面で損したくない、という想いは誰しもが持ちますし、その感情は自然なことだと思いますが、住まい選びは、これからのおふたりの人生設計とも密接に関わってきます。今という短期的な視点だけでなく、今後末永く暮らしていく上で起こりえる可能性やどう過ごしていきたいかという価値観をすりあわせた上で、賃貸か持ち家かを決めて頂くのが大切ではないか、と私は考えています。
FPオフィス ケセラセラ横浜代表。
1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルタント会社勤務などを経て、2013年にケセラセラ横浜を開設。
信用取引や商品先物取引、FXなど様々な投資を経験し、その中で自身に一番合うと感じた大家業を2007年にスタート。
不動産投資に関するアドバイスを中心としたファイナンシャルプランナーとして活動中。
金融資産は、イデコやNISAを活用しながら、実物資産は、中古ワンルームを活用しながら、身銭を切って、自らも資産形成中のプレイヤーでもある。
著書に『FP大家だけが知っている 資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安・・・。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)がある。
