どうする?老後の資産運用
人生の三大資金の1つが「老後資金」です。
2019年に公表された金融審議会の報告書の内容をきっかけに「老後2,000万円問題」という言葉がメディアなどを賑わせたことがありました。必ずしも全員が2,000万円用意する必要はありませんが、お金の備えがあることで、精神的な安心感が高まることは事実としてあると思います。
そこで、不足すると言われがちな老後資金について、自助努力でできる対策についてお伝えしたいと思います。
年利8.4%が約束された運用方法!
今後制度が変わるかもしれないので、現時点での話にはなりますが、ノーリスクで国が年利8.4%、お金を増やしてくれる制度があったら活用したいと感じませんか?
この言葉だけを耳にすると「嘘くさい・・」と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、この制度は実際にあるのです。
名前は「公的年金の繰り下げ制度」です。公的年金は、原則65歳から受け取りが始まりますが、それをあえて受け取らず、受け取り始める年齢を後ろにずらすと、受け取れる金額が増えるというのが、繰り下げ制度の内容です。
その増える割合が、1ヶ月あたり0.7%なので、12ヶ月で8.4%。これが、年利8.4%が約束された運用方法と書いた理由です。
例えば、65歳から年間180万円の公的年金を受け取れる方の場合、70歳まで繰り下げると年間約255万円に増えます。月額15万円が約21万円に増えるのです。
しかも、公的年金は、あなたが亡くなるまで一生涯、変わることなく受け取れる権利があるのです。
そのように考えると、繰り下げ制度を活用して、一生涯受け取れる公的年金の金額を増やしておくことは、老後資金対策としても良いのではないか、と私は考えています。そのためにも、繰り下げて受け取りを始めるまでの期間は、それまでに築いた資産を取り崩して充当する、働き続けるなどしてまかなうという方法を選ぶのも良いと思いませんか?
NISAを活用して資産運用する
株式などのリスク資産は「100-年齢」の割合にするのが良いと一般論として言われることがあります(例:70歳であれば、100-70=30%までにするという意味合いです)。
ただ、2024年にスタートした新NISAは、運用益の非課税の期間が「一生涯」になりました。
私はこれを最初に聞いた時、「資産運用などで築いた資産は、死ぬまで運用を続けながら必要な分を売却して取り崩して過ごす」というライフスタイルがベターだと提示されているのではないかと感じました。
資産運用、資産形成というと、若い方が時間を味方につけて行うものと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、年齢に関係なく誰でも少なからず取り組んだ方が良いと私は考えています。
特に、公的年金が主な収入源となる老後に関しては、最近の世の中のような物価高、インフレ傾向にある時は、保有している資産の現預金の割合が多いと、目減りしてしまう可能性が高まるからです。
資産運用はお金を殖やすためにだけ行うのではありません。
モノを買ったり、サービスを受けるための購買力を、世の中に合わせて維持するために行うものでもあると私は考えています。
その点で、利益の税金が一生涯非課税になるNISAを活用しながら、老後も資産運用を続けることは、あなた自身を守ることにもつながると私は考えています。
まとめ
今回は、老後資金対策ということで、「公的年金の繰り下げ制度を利用すること」「NISAを活用しながら、資産運用を続けること」という点からお伝えしました。自助努力として収入を増やしたり、資産運用を通じて使えるお金を殖やすという点からお伝えしましたが、これらの対策をする前に、誰もが共通して取り組んで頂きたいと思っていることがあります。
それは「支出を見える化すること」です。
毎月の食費や通信費、交際費や医療費などが、1ヶ月でおおよそいくらくらい必要なのかを
把握して下さい、という意味合いです。老後に限りませんが「収入+資産の取り崩し>支出」という状態を継続できれば、お金に困ることはありません。NISAを活用した資産運用の継続は効果的だとは思いますが、必ず殖える保証はありません。その一方で、支出の管理に関しては、外的な要因を気にすることなく、あなたやあなたの家族の中だけでコントロールができるのです。支出を削りすぎるのは、人生の楽しみを奪うことにもつながるので本末転倒ですが、そこはバランスを考えて頂きながら、あなたやあなたの家族にとって、ストレス無く過ごせる支出はいくらなのかを考え、それをまかなうためにはいくら必要なのか?
この順番で、老後資金対策に関しては考えて頂くことが良いのではないか、と
私は考えています。
FPオフィス ケセラセラ横浜代表。
1977年横浜市生まれ。
2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルタント会社勤務などを経て、2013年にケセラセラ横浜を開設。
信用取引や商品先物取引、FXなど様々な投資を経験し、その中で自身に一番合うと感じた大家業を2007年にスタート。
不動産投資に関するアドバイスを中心としたファイナンシャルプランナーとして活動中。
金融資産は、イデコやNISAを活用しながら、実物資産は、中古ワンルームを活用しながら、身銭を切って、自らも資産形成中のプレイヤーでもある。
著書に『FP大家だけが知っている 資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安・・・。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)がある。
