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今年、発足から70周年となる日本中央競馬会(JRA)と、100周年を迎え、10月から第37期竜王戦七番勝負を控える日本将棋連盟。普段交わることのない両団体のトップが、2021年に国際的な馬術競技場へと生まれ変わったJRA馬事公苑で、それぞれの歴史や魅力、未来への展望を熱く語り合った。

―リニューアルされた馬事公苑での記念対談となります。
吉田 実は私、将棋が大好きでして、誕生日も将棋の日(11月17日)なんです。今回の対談をとても楽しみにしていました。
羽生 え、そうなんですか。それは嬉しいです。ところで、この馬事公苑では、様々な馬術の競技会が行われていると思います。7月にはパリで行われた馬術競技で日本チームが銅メダルを獲得したことが大きな話題になりましたね。
吉田 「初老ジャパン」ですね。総合馬術の戸本選手は馬事公苑に在籍している本会職員です。チームの一員として歴史的な快挙を成し遂げてくれたことは我々としても大変嬉しく感じているところです。
緻密な準備と一瞬の勝負。選ばれし者たちの戦い

―それではまず、両団体の歴史についてお聞かせください。
吉田 日本の近代競馬の発祥は江戸時代末の1860年代まで遡ります。現在の日本中央競馬会は、戦後の1954年に国営競馬を継承して発足し今年で70周年を迎えました。これまでの発展は、関係者の皆様のご尽力に加え、何より競馬を愛するお客様のおかげだと感謝しております。
羽生 将棋は江戸時代の初期に現在のルールが確立され、家元制度として幕府の庇護を受けてきました。その後、近代に入って複数の団体で活動していた東京の棋士が今から100年前の1924年に集まり、3年後に関西の棋士も合流し日本将棋連盟が始まりました。本当に多くの方に支えられて将棋界が存続してきたことを、会長になってより実感しています。

―それぞれ長い歴史を持つ将棋と競馬ですが、共通点を感じることはありますか?
羽生 どちらも時間をかけて万全の準備をするけれど、決着がつくのは一瞬で僅差の勝負が多い点が似ていると思います。自身の状態や周りの環境など、その日になってみないと分からない部分にも面白さを感じます。結果を読めそうで読めない。そこに惹かれるものがあるのではないでしょうか。
吉田 両方に共通するのは棋士の方々と同様に、競走馬も大きなレースに出走できるのは厳しい競走を勝ち抜いてきた一握りだけという点。一勝の重みも、通じる部分があるように思います。
ファンの皆様とともに、楽しみの可能性を広げる

―近年どちらも新たなファンが増えていますが、どのように捉えていますか?
吉田 コロナ禍以降、若いお客様が増えています。レースを様々な角度からお楽しみいただくために、通常のレース映像に留まらず、リアルな迫力が伝わるジョッキー目線のカメラや、トラッキングシステムを活用して馬券を買った馬がどこを走っているか分かるように表示するなど、映像的な見せ方を工夫しています。
羽生 それは初心者の方にも親切ですね。将棋もルールを覚えたての方は今どちらが勝っているのか、棋士が何を考えているのか分からない部分もあると思うので、AI評価や解説などで楽しく見てもらえる工夫が必要だと感じています。最近は対局中のおやつに注目が集まったり、「観る将」と呼ばれる将棋を観るのが好きな方も増えたりしているので、新たなニーズもつかんでいけたらと思っています。
吉田 AI評価は将棋の見方を広げていますが、一方で人間同士の心の動きを想像するのも将棋の面白さですよね。競馬もレースの迫力、馬の美しさに加えて、推理の楽しみがあります。盤上の勝負の行方を予想する楽しさと通じる部分もあると思います。
次世代の発展を目指して、新たな挑戦は続く

―若い方も含め、裾野を広げていくために意識していることはありますか?
羽生 将棋が強くなることも大切ですが、対局相手に敬意を払うことや、集中力や論理的思考などを若い人たちには将棋を通じて身につけてほしいと思っています。技術向上に向けては、「こどもスクール」「研修会」「奨励会」と段階的に次世代の育成を行っています。その中心となる場所として、全国に道場を増やしていきたいです。また棋士による対局やイベントの開催を通して、幅広い年代が集まり、地域の活性化やご当地の魅力発信につながるよう貢献したいと考えています。
吉田 女性が本格的なカメラで馬を撮影したり、スタンド前のお客様もゴールの後には拍手で迎えたりと、最近は若い人たちを中心にスポーツ観戦的に楽しまれる方が増えています。昨年、東京競馬場で行われたジャパンカップがIFHA(国際競馬統括機関連盟)の「2023年ロンジンワールドベストレース」に選出されましたが、スポーツとしても世界トップレベルのレースをお届けしていきたいと考えています。また、女性専用リラックススペース「UMAJO SPOT」などの快適な空間の創造や、分かりやすく迫力のあるレース映像の提供も行ってまいります。JRAでは、競馬の公正確保を第一に、夢と感動を皆様にお届けしてまいりますので、どうぞお楽しみください。
■JRA馬事公苑
1940年に開苑し、日本の馬事振興の拠点となってきた東京都世田谷区にあるJRA馬事公苑。2023年11月にリニューアルオープンし、国際大会を含めた様々な競技会を開催する「馬術の殿堂」として、「馬のいる緑豊かな都市公園」として、日本の馬事文化· 馬術競技の中心的役割を担っています。
公式webサイトは こちら
































