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(左から)聖マリアンナ医科大学曽根正勝主任教授、東京医科大学病院鈴木亮主任教授、フリーアナウンサー木佐彩子さん、デクスコムジャパン浅野元社長
(左から)聖マリアンナ医科大学曽根正勝主任教授、東京医科大学病院鈴木亮主任教授、フリーアナウンサー木佐彩子さん、デクスコムジャパン浅野元社長

11月14日は「世界糖尿病デー」です。糖尿病は世界の成人の9%以上、5億8900万人がかかえる疾患で増加を続け、日本においても例外ではありません。先頃、専門医である聖マリアンナ医科大学の曽根正勝主任教授と東京医科大学病院の鈴木亮主任教授、デクスコムジャパンの浅野元社長に予防と対策についてお聞きしました。司会はフリーアナウンサーの木佐彩子さん。
※IDF Diabetes Atlas 11th edition.

糖尿病の原因や症状を正しく知ろう

木佐  国内では糖尿病は患者とその予備群をあわせると約2000万人以上と推測され、国民の6人に1人が罹患またはその可能性がある状態となっています。糖尿病とはどのような病気でしょうか。
曽根  糖を体の中でうまく利用するためのインスリンというホルモンが、あまり効かなくなったり、出なくなったりして、慢性的に血糖値が高くなってしまう病気です。
木佐  自覚症状はどのようなものでしょうか
曽根  実は一般に自覚症状があまりないため気付きにくいのですが、尿の回数が増えたり、尿糖に引っ張られて尿量が増えて脱水症状になったりします。体重が減ってきたり、ひどくなると意識障害をおこしたりすることもあります。例えば、夏場に喉が凄く渇いて清涼飲料を大量に飲み、急に血糖値が高くなりすぎて糖をうまく利用できなくなり、意識障害に陥ったり、脱水症状を起こしたりして糖尿病だと気づくケースもあります。
鈴木 糖尿病の自覚症状は何もないけれど、健康診断で血糖値を測ってみると高いというケースが多くあります。最近は、コロナ禍で足が遠のいた健康診断を受ける人が増えてきているので、早期に治療に取り組むきっかけも増えています。
木佐  糖尿病の原因について教えて下さい。
曽根  血糖値を下げるインスリンというホルモンは膵臓でつくられているのですが、1型糖尿病は、自己免疫の異常などで膵臓の細胞が破壊されてインスリンが出なくなって起きます。2型糖尿病は、インスリンが体に効きにくくなったり十分に出なくなったりして起こります。患者の90%以上は2型糖尿病です。生活習慣の影響も大きいですが、遺伝的要素や生まれつきの体質もあり、暴飲暴食をしてもならない人もいる一方で、かなり節制しても血糖値が高くなる人もいます。

合併症を防ぐためにできることは

木佐  糖尿病の合併症はどのようなものですか
曽根  血糖値が高い状態が長く続くと神経、眼、腎臓などに障害が起き、心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気、最近ではがんの頻度も増えると統計が出ています。足の病気や感染症も起こしやすくなります。
鈴木  合併症は、できるだけ早い段階から良い血糖値を達成した人ほど、確実に予防できることが分かってきました。診断されて最初の1年の間に、病院で検査した血糖値がどのくらいまでよくなっているかで10年経ったときの合併症の状況に差が出てきています。また、食後の血糖上昇が大きいことは、血管合併症の発症リスクとも関係しています。
木佐  診断方法について教えて下さい。
鈴木  血液検査で血糖値とHbA1c(1~3か月の血糖値の平均)の数値を組み合わせて診断していきます。血糖値が高く、網膜症、体重減少、のどが渇き尿がたくさん出るなど特徴的な症状がある場合も、それで診断できます。若いときに肥満だった人は糖尿病のリスクがあるので定期的に健康診断を受けましょう。
木佐  治療法を教えて下さい
鈴木  食事の影響がとても大きいので、バランス良く野菜、糖質、たんぱく質、脂質を取り、間食や清涼飲料水を飲む習慣も見直します。それができていないとどんないい薬を使ってもなかなか結果につながりません。運動は、散歩やジョギングなどの有酸素運動と筋肉量が減らないようにレジスタンス運動の両方を行うことがお勧めです。また、血糖値がとても高い場合には早めに薬物療法を始めることも検討し、場合によってはインスリン注射が必要なこともあります。2型糖尿病の場合は一人ひとりの病態にあわせた選択肢があります。血糖変動が大きいと転倒や意識消失につながる低血糖リスクが大きくなるため、変動をなるべく抑えるようにします。またHbA1cの目標値は、7%未満が合併症予防のための一つの目安ですが、年齢や全身の状態により、もっと厳しい目標やゆるい目標にすることもあります。
木佐 食事を変えるとどれくらいで変化が見られるようになりますか。
鈴木 変化は割合すぐ見られるようになります。たとえば、入院して病院の食事を始めると飲み薬やインスリン注射を始める前から、あっという間に結果が良くなることもあります。ただ、それは一時的ながんばりの結果であって、良い結果が長く続くことが大事なので、どうやったらふだんの食事の工夫を長く続けられるか、管理栄養士や医療スタッフと相談することをお勧めします。

新しい技術が支える糖尿病管理

木佐  CGM(持続血糖測定)とSMBG(血糖自己測定)はどのようなものですか
鈴木  SMBGは、針で指先を刺す器具で少量血液を出して、センサーで血糖値を測る方法の血糖自己測定です。確実ではあるもののその時の血糖値しかわかりません。CGMは持続血糖モニターといって、上下している途中の連続した血糖値が分かりますので、食前食後の血糖値を把握することもできます。下がりすぎるとリアルタイムで警告してくれるものもあり、すぐに対処できます。
曽根  CGMはつけたままお風呂に入っても大丈夫です。スマホのアプリを開いたら血糖値の推移をグラフで見ることができ、自分が計測しなかったときの数値も知ることができます。
鈴木 自分の血糖値に関心があり、なんとかしなければと思っている人は、CGMを始
めただけで、食事の内容に気をつけるようになって血糖値が改善される方もいます。
木佐  診療する側からのCGMの特徴を教えてください。
曽根  SMBGでは血糖値を測れるのは起きている時間だけですが、CGMでは睡眠時など本人が測れないときの時間も全部モニターできます。
鈴木  クラウドに接続していると、遠く離れてひとり暮らしの親の血糖の状態を離れたところに住む家族などが見ることができ、安心できます。

木佐  CGMを扱う会社として糖尿病の方々に伝えたいことは。
浅野  海外では、1型糖尿病患者のCGMの利用を国がサポートしていますが、日本では、インスリンの使用があれば2型でも、CGMの利用に保険適用が認められる場合がございます。現在、国内ではおよそ100万人がCGMを使えるのに、使用しているのは20万人ほどです。血糖マネジメントを介して、糖尿病の管理・治療が適正にされること、そして患者さんの生活に貢献していきたいと考えています。

曽根 正勝 :京都大学医学部卒業後、同大学で博士号を取得。助教・准教授を経て2020年より聖マリアンナ医科大学代謝・内分泌内科学主任教授。糖尿病・内分泌疾患の研究と臨床の両面で活躍している。
鈴木 亮 :東京大学医学部卒。米国ハーバード大学ジョスリン糖尿病センターに留学後、東京大学講師を経て2020年より東京医科大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授。糖尿病の病態解明と最新治療の研究・臨床に取り組む。
木佐 彩子 :青山学院大学文学部英米文学科卒業後、1994年にフジテレビ入社。「プロ野球ニュース」などで活躍し、2006年にフリーアナウンサーに。現在は報道・情報番組や講演などを通じ、幅広く活動している。
浅野 元 :武田薬品工業に20年以上勤務、武田台湾社長などを歴任。その後ヘルスケア企業に転じ、2024年4月よりデクスコムジャパン社長。糖尿病患者のCGM(持続血糖測定)普及に注力。

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