心房細動 早期受診と治療の重要性とPFA治療の可能性【PR】

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超高齢社会の今、不整脈の一つである「心房細動」の患者さんが増えています。放置すると脳梗塞や心不全を引き起こすこともある怖い病気で、早期発見と早期治療が大切です。この病気の最新治療「パルスフィールドアブレーション(Pulsed Field Ablation:PFA)」(以下PFA) が昨年より日本でも受けられるようになりました。世界でも多くの症例実績があるPFAについて、ともに奈良県内で治療経験が豊富な循環器内科医、高井病院の夏山謙次先生と天理よろづ相談所病院の山上新太郎先生に話を聞きました。聞き手は医療ジャーナリストの山口博弥氏。

■心房細動とは?脈の乱れが知らせる体の危険信号

山口  心房細動とはどんな病気ですか。
夏山  正常な心臓は、上部の右心房の細胞から規則正しい電気信号が出て、それが下部の心室に伝わることで拍動しています。この電気信号が不規則になって不整脈が表れるのが、心房細動です。脈が速くなる「頻脈性不整脈」に分類されますが、脈が不規則に遅くなる患者さんもいます。日本での患者数は100万人以上とされています。(※1)
山口  私も調べてみたところ、岩手県内で80歳代の男性の8%、女性の3.5%に心房細動がある、という調査結果がありました。(※2)

高井病院 循環器内科 副部長 夏山 謙次先生
高井病院 循環器内科 副部長 夏山 謙次先生

夏山  調査データによって数字が異なるので一概には言えませんが、高齢化に伴って増加傾向にあるのは確かだと思います。
山口  心房細動は放置しておくと、どのような危険なことがあるのでしょうか。
山上  はい。最も気をつけるべき合併症の一つは、脳梗塞です。心房細動が生じることで、心房内の血液の流れが悪くなり、固まって血栓となってしまう。この血栓が動脈を通って全身に運ばれ、脳の血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こします。他の脳梗塞に比べ、重篤な症状が表れやすいのが怖いところです。脳梗塞の他にも全身の動脈に血栓が詰まってしまうことを塞栓症と呼び、同様に注意が必要です。また、心房細動を放置しておくことで心臓の働き自体が弱まり、血液をしっかり送り出せなくなる「心不全」という状態にも陥りやすくなります。

■動悸や息切れに注意!薬とカテーテルで広がる治療の選択肢

天理よろづ相談所病院 循環器内科 不整脈部門 責任医師  山上 新太郎先生
天理よろづ相談所病院 循環器内科 不整脈部門 責任医師  山上 新太郎先生

山口  心房細動になると、どんな症状が表れるのでしょうか。
山上  最も一般的なのは動悸症状です。その他にも脈の乱れ、息切れ、めまい、気分不良等が表れたりする人もいます。一方、症状が出ない患者さんもおられ、発見が遅れてしまうケースが少なくありません。
山口  では、どんな治療法がありますか。
夏山  薬物療法には、脳梗塞を防ぐために血液をさらさらにする抗凝固薬や、正常な脈拍に戻す抗不整脈薬などがあります。近年では、「カテーテルアブレーション」を行うことが増えてきました。心房細動の異常な電気信号のほとんどは、左心房の肺静脈付近から発信されます。そこで、カテーテル(細い管)を太ももの付け根の血管から左心房まで挿入し、発信源に直接アプローチする方法です。
山口  カテーテルアブレーションを実施する基準はあるのですか。
山上  基本的に薬物療法から開始されますが、病態や症状に合わせて安全性や有効性を考慮した上で早期にこの治療が検討されることもあります。カテーテルアブレーションには高周波(熱アブレーション)、心筋冷凍焼灼(冷凍アブレーション)のほか、昨年から本邦でも使用できるようになったパルスフィールドアブレーション(パルス状電圧により標的組織を治療)があります。

■短時間で体への負担軽減 電気で治す新技術「PFA」

山口  パルスフィールドアブレーションは、電気で組織を壊死できるのですね。その方法によるメリットはあるのでしょうか?
夏山  左心房に挿入したカテーテルの先端に強い電圧を短時間発生させ、「電場(パルスフィールド)」が形成されると、細胞膜に穴が開いて細胞死を誘導します。熱や冷凍によるアブレーションだと、肺静脈が狭くなったり、近くの横隔神経や食道に障害を与えたりする合併症が起きやすいのですが、PFAは心臓の組織を選択的にアブレーションすることが期待されます。そのような障害が起きにくいメリットがあると考えられます。
山上  PFAは従来の熱や冷凍によるアブレーションで生じていた課題を解消し、手術時間が短縮されるのも良い点です。
山口  では、PFAを実際に受けた患者さんの感想はいかがですか。
山上  高周波の熱による治療の後では、食道や横隔神経など周囲臓器への影響が及ぶことがあり、軽い胸焼けを訴える患者さんがある程度いました。PFAだと、そうした術後の不快感が表れる方はほとんどおられないですね。従来よりも患者さんの術後のQOLが上がった印象があります。
夏山  治療時間が1~2時間と、従来のアブレーションより短いので、治療による体の負担が少なく、術後のしんどさは少ないようです。高井病院では2泊3日で退院でき、退院後はすぐに日常生活に戻れるケースがほとんどです。高齢の患者さんが多いので、そういう面でもPFAはメリットがあると思います。
山口  なるほど。すでに世界で50万例以上の治療実績があるというのもうなずけます。では、心房細動はどうすれば見つかりますか。
夏山  心電図を取れば分かります。病院で不整脈が表れない場合には、携帯型モニター心電図を1~2週間付けてチェックすることもできます。近年、心電図機能が付いたスマートウォッチの精度が向上しているので、こうしたデバイスも有用です。
山口  診療科はどこを受診すればいいでしょうか。
山上  循環器内科が望ましいですが、心電図を測定できる医療機関であれば心房細動を見つけることはできると思います。

■生活習慣の見直しが大切 早期発見と予防が最善の治療に

左から山口博弥氏、夏山謙次先生、山上新太郎先生
左から山口博弥氏、夏山謙次先生、山上新太郎先生

山口  心房細動になる原因にはどんなものがありますか。予防法はありますか。
夏山  もともと心臓に病気がある人や、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などは、発症するリスクが高い。予防法としては、お酒を飲み過ぎない、肥満にならない、過労を避ける、適度な運動を心がける、といったことが挙げられます。(※3)
山口  最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。
夏山  心房細動は、症状がなくても脳梗塞や心不全の原因になるリスクを抱えた病気で、長く患えば患うほど治りにくくなります。必ず健康診断を受けて、1年に1回は心電図検査を受けることが大切です。もし心房細動があると言われたら、かかりつけ医に相談し、できれば不整脈の専門医の診察を受けてください。
山上  心房細動は自覚症状の有無に関わらず、放置していい病気ではありません。早期の治療介入が患者さんの予後を改善するため、検診等で心房細動と指摘された場合は早めに専門機関を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。

※1 Ohsawa M, et al, : J Epidemiol 2005 : 15 : 194-196
※2 小坂加麻理,小野寺麗佳,柳田貴子, ほか. 日本人一般住民の年齢階級別心房細動有病率と罹患率-健診結果の経時的解析結果より-. 人間ドック 2021;36:539.
※3日本循環器学会/日本不整脈心電学会. 2020 年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会, 2020.

夏山謙次(なつやま・けんじ)
2001年に岐阜大学医学部を卒業後、関連病院での研鑽を経て、09年に高井病院に着任。20年4月より循環器内科 副部長。循環器疾患全般、特に不整脈の診断・治療を専門としている。日本不整脈心電学会 不整脈専門医。

山上新太郎(やまがみ・しんたろう)
2013年に奈良県立医科大学医学部を卒業、康生会 武田病院、京都大学医学部付属病院を経て、20年4月より循環器内科 不整脈部門 責任医師。心臓の電気的な異常を扱う不整脈治療を専門としている。日本不整脈心電学会 不整脈専門医。

山口博弥(やまぐち・ひろや)
医療ジャーナリスト、元読売新聞編集委員、医療部長、解説部長。

心房細動について、 ボストン・サイエンティフィックのサイト でも紹介しています。
ボストン・サイエンティフィックは、世界中の患者さんの健康状態を改善するために、革新的な治療法を提供し、患者さんの人生を実り多いものとすることに全力で取り組みます。

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